2005/3/11

鋼の錬金術師 10巻/荒川弘スクウェア・エニックス
ロイと愉快な仲間達vsホムンクルス組のバトルが決着。前巻から続いたこのエピソード関連のバトルは随所が熱かったですね。特にハヤテ号の忠犬っぷりが溢れる姿には、MVPの称号を(勝手に)贈りたい所です(笑)
あとは渦中での、それまでの気丈さが嘘のような、意外な程にあっけなく見事な中尉の折れっぷり。見た時には「この人は(想像以上に)『無能の人』を自己存在の支えにしていたのだなぁ」と驚いたのですが、だが実際にああいった挙動を取った中尉の姿にも納得する事が出来る、そんな(既刊で積み上げてきたエピソードも背景に含めた)シチュエーション描写の妙技に感動。そしてそんな中尉に、今まで以上に激しく萌え。
派手な登場の割には陰の薄かった坊ちゃんと手下の活躍も、かなり印象的に格好良かったですね。こうやって要所を押さえて脇キャラを活躍させるから、間ダレしないのですよなぁこの作品は。上手い。
でもって謎の渦中どころかそのド真ん中にいる父が、さりげなくも思わせぶりに表舞台へと登場…とかいうシリアスな流れの中、しかし巻末のネタマンガによって彼の存在は『ホームレス』として己の心に焼き付けられてしまいました。センセー!!!(笑) 巻末4コマもそうですが、本家(作者)が他者の2次創作(パロディ)を寄せ付けぬ程に面白いバカネタを描くのは反則だよなぁ。今巻も『エドとアルの立場が逆だったら』と「ブレ子」で笑い死にそうになりましたよ、マジでオモロ過ぎですわアレ(^^;;)
きみはペット 12巻/小川弥生/講談社
スミレちゃんの「自分がやってきた事を棚に上げて(しかも結局隠したままで)、何を一方的な被害者根性を振りかざしてるんだコイツは?」という図々しさを目の当たりにしたものの、「あ〜、まぁコレが『女(成人女性)』の挙動だったら『ただの腐れ女』なのだが、スミレちゃんは『(体と社会的地位だけが一人前で心は未成熟な)女の子』だから、ああなっても仕方がないのだろうなぁ」と妙な納得をしてみたり。とか書くと何だか救われなさそうなカンジですが、そのあるまじきアンバランスさがスミレちゃんの魅力なのだから、コリャコレでいいのだろうなぁとも思い。
しかし、そんな彼女に対してモモは着々と大人の階段を登っているので、スミレちゃんが『女の子』のままでいたら、遠からず2人の間に深い溝が出来るだろうなぁと…いや、ずばりソレこそを(そしてその時にスミレちゃんがどうするのかを)見たいワケでなのですが(笑)
でも何か、結局スミレちゃんはこのままで、作品世界も『(せいぜいちょっと考えたり落ち込んだりする程度で、基本的には)辛い事が起こらない世界』のまま終わってしまいそうな気もするのですよな…どうだろう?
ともあれ今後の展開待ちで。
私立聖カトレア小学校 1巻/藪京介マッグガーデン
表紙絵のかわいさに引かれて購読してみた所、どうやらこの本の前に幼稚園時代の話の本が刊行されていた模様…罠だ。
で、話の方は『微妙に心が黒かったり頭が壊れていたりするお子様&先生達による、何かちょっといい話混じりだが、結局はマッチポンプ的にミもフタもなくオチる日常ネタ』とかいう、毒と薬を混ぜて一度に出すようなノリだったのですが…肝心なその毒と薬の双方の匙加減が甘いために両者が効果を薄め合ってしまい、結果どうにもメリハリに欠ける曖昧な印象に…絵が好みなだけに、色々と惜しかったです。2巻は買おうかどうしようなぁ(T▽T)