06/5/19

フルーツバスケット (20) (花とゆめCOMICS (2936))■フルーツバスケット 20巻/高屋奈月/白泉社
一つ、また一つと解けてゆく『十二支の呪い』。
飢えた心が拠り所としてすがっていた『絆』が『永遠』ではないと悟った慊人が、妄執にとらわれた母と向かい合う時…慊人がそこに見据えたのは、『ただ一人の愛する人から選ばれなかった自分』だった。
そして『ただ一人の愛する人を選んだ』透は、「誰からも奪われたくない」と心に存在を抱きしめた夾の口から、過去の二人を塗りつぶした悲しい事実を告げられる。
物語の光と影、ふたりの少女が胸にしまった心の箱が、溢れる想いによって今、その蓋を開けた。
『十二支の呪いと、神である慊人の秘密』と『今日子の事故死と、それに夾が抱く負い目』という、ストーリーの根幹的なエピソードに言及し、作中最大の山場を迎えた物語ですが、今巻最大の見せ場は、悲嘆を超えて顔を上げた紅葉の笑顔だったかなと。心身共に、大きく成長しましたなぁ彼は…などと、ちょっと孫を眺めお年寄りのような気持ちに。
『亡くした大切な人から心を離してゆく自分』を恐れて非難しながらも、『今そばにいる愛する人へと心を移す自分』を受け入れた透もまた、何というか、何というか…あ〜も〜かわいいなぁ!<軽薄なオチに
この辺りは、彼女の母に対する深い愛情と、それへの執着が薄れゆくことへの恐怖を、繰り返し丹念にえがいてきたのが、ここに来て説得力を発揮したなと。
生きてきて、この先も生きてゆくための強さ。ソレを感じさせるのが透の最大の美しさなのかなぁとか…ごにょごにょ。