06/5/26

荒川アンダー ザ ブリッジ 3 (ヤングガンガンコミックス)■荒川アンダー ザ ブリッジ 3巻/中村光/スクウェア・エニックス
家訓に従い他人に借りを作らず生きてきた青年が、生まれて初めて作った借りは『自分の命』。重すぎる借りを返すべく、『命の恩人』である少女(自称・金星人)の望みを聞くと…
「私に恋をさせてくれないか?」
勝ち組エリート青年とホームレス美少女。大きな星の橋の下、荒川河川敷でふたりの恋が始まる。
…と、ここまでは恋愛マンガの冒頭っぽいのですが、彼女の「1日見なかったら忘れる」という発言によって河川敷での生活を余儀なくされ、「ならば村長に挨拶を」と出向いた先にいたのが自称河童(しかも着ぐるみ)という辺りから、もうどんどん常識離れしていくギャグコメディです。
買い忘れていたのですが気付けば3巻まで出ていたのでまとめ買いで読了。
個性が豊というか膨張破裂している登場人物たちの常に本気な(どこかへの)逝きざまがクセになります。
あーんど、エキセントリック素直クールなニノさんの愛らしさと、忘れた頃に突然始まるラブコメ展開が!がね!(拳を握り頬を赤らめつつ)
『常識的な河川敷住人たち』の姿(リクの妄想)を見て「どんなギャグだよソレは!?」と素で突っ込んだ時、自分の毒されっぷりに気付きました。
いや、ずっと読んでると本気でマヒしますよ、常識感覚が。河川敷での生活(橋の下で寝起きし、畑に漁に牧場で自給自足し、教会での『ミサ』まである)が、『ごくあたりまえの日常』のように思えてきますもの。
現実的に考えると楽ではなさそうですが、会社の窓から空を眺めて「遠くへ行きたい…」と思っている身には、作中の荒川河川敷が楽園のように見えるのですよな。
とりあえずこの作品が終わる時のオチが、『地方自治体による撤去』とかいうリアルしょっぱいものにならないことだけを祈っております。