Yesterday,Yes a day (フラワーコミックス)/岩本ナオ

Yesterday,Yes a day (フラワーコミックス)3年前に母が入院して以来、兄や友人と何となくぎこちなくなってしまった小麦は、寂しい気持ちを口に出せずに日々を淡々と過ごしている。
そんな高1の夏、小学校の時に引っ越した幼なじみの多喜二が、東京から小麦の住む村へと戻ってきた。
子供の頃のように二人で過ごす時間が増えて、無口でおっとりとした変わらぬ多喜二を見ているうちに、変わってしまった自分に戸惑いを覚える小麦。けれどそんな小麦を見る多喜二にもある変化が生まれてきて…。
『恋愛』というほどの熱や高揚感ではなく、『恋い慕う』といった控えめの温度と不器用な距離感からなる好意。
無口な多喜二の少しピントの甘い、けれどもひたむきな恋心が、台詞も描写も控えめなのに雄弁に語られているのに心を掴まれましたよ。
作中の空気がとても澄んで感じられるのが、また切なくなるというか…甘いのでも酸っぱいのでも苦いのでもなく、深く透き通る味わいの1作でした。う〜ん、言葉が出てこないなぁ。