2005/3/31

エマ 5巻/森薫エンターブレイン
19世紀末の英国。貴族の長男として生まれ育ったジョーンズ。身よりなく、だが賢く美しく育ちメイドとして生きてきたエマ。あまりにも隔たる世界を生きる二人が触れ合い恋に落ち、だが時代と人とが決めた価値観たる『階級』によって引き裂かれる。
仕えていた主を失い旅立つエマ。エマが去った後で自分たちを引き裂いた『貴族』という階級を憎み、それゆえにより『貴族』らしく生きようとするジョーンズ。しかし彼が貴族の娘を娶ろうとした時、幾重にも折り重なる運命の綾は、彼の前に再びエマを運んでくる。
…とかいうワケで、二人が感動の再会を果たした前巻末に続く今巻は、意外と苦労人だった事が判明した『成り上がり貴族』なジョーンズの父と、二人の再会のきっかけをつくったその母との若かりし頃の甘く、そして切ないエピソード。
いやも〜著者氏の巧みな物語運びには一喜一憂させられますよ。かつて『社交界』という実体のない悪意の前に引き裂かれたジョーンズの父母。それゆえに、彼らが息子であるジョーンズとエマの恋に対して現実的な破局の芽を見るのにも納得がいくのですが…あ〜、もうこうなったら麗しのドロテア奥様と旦那さまに是非ご尽力頂きたいと!<このご夫婦の関係にも非常に萌えるのですよな〜
社交界』を実体化したかのような、特権意識を重んじてそれに自尊心を依るキャンベル子爵(エレノア嬢の父)の登場により、事態は更に極限状況へ。いやも〜色々な意味で暗雲迫る『待て次巻!』な展開は、非常に生殺しだよなぁと。
しかしエマに対する激しい萌えとストーリーの面白さに反し、イマイチ微妙に盛り上がりきれない部分があるのは…やはりソレは、「何故エマ程のキャラが、ハンパモラトリアムな貴族のボンボンにあそこまで惚れてしまっているのか…」と思ってしまう点にあったり。いや、ジョーンズは悪い奴ではないのですが、エマがああまでして愛するには値せぬようにも感じてしまうのですよ。
この良作マンガを堪能しながら、今ひとつのめりこめない理由は、結局その一点に尽きるのですよな。エマはジョーンズではなくハキムを選べば良かったのになぁとか思ってしまい<ソレだと3巻あたりであっちう間に終わりそうなのが難ですが(^^;;)
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4月からいよいよ放映開始なアニメ版…だが都内(TBS)では放映しないのかΣ(T△T) 仕方ない…ちばテレビを受信できる同僚に録画を頼むか!