2006/1/27

惑星のさみだれ 1 (ヤングキングコミックス)惑星のさみだれ 1巻/水上悟史/少年画報社
【Q】 もし、ある朝突然に現れたトカゲから
「惑星(ほし)を滅ぼさんとする悪の魔法使いから姫を守り、世界を滅亡から救う手助けをして欲しい」
…とか言われたら、どうする?
【A】 即 座 に 窓 か ら 放 り 捨 て る 。
人語をしゃべる、自分以外には見えぬトカゲの騎士の請願に、冷笑を浮かべて飄々とした酷薄な態度で拒絶を示すものの、一方的に能力を与えられ、あげく早々に敵に襲われて命を失いかける雨宮夕日(凡人大学生)。
が、その時、彼の窮地を豪快なパンチ(素敵パンチラ付き・ウサギ柄)で救ったのは、お隣に住む少女・さみだれだった。
空に浮かぶ『ビスケットハンマー』の下で、「私のものになりなさい」と手をさしのべるのは小さな魔王。
『惑星を砕く物語』は、こうして瞬く間に夕日を呑み込んだ。
『地方都市で展開する惑星の命運をかけた闘争』という地味ハデなスケールのでかさや、今はまだ断片的にしか見えていない物語と世界の設定の裏にある謎にも心を惹かれますが、とにかくキャラクターの魅力が強烈ですよ。
ねじれた過去によって歪んだ情動で生きるメガネ(ここ重要)主人公と、荒唐無稽な企みを抱き、天真爛漫でありながら覇者が持つ残酷さを垣間見せる、関西弁の魔王少女。そんなふたりの繋がり。
彼らの一言一句一挙手一投足を見ていると震えが走ります。
その『底知れなさ』がさみだれの魅力であると思うのですが、話の展開と共に彼女の内面などもえがかれていくといいなぁ。そしてそれが『解けない謎よりも魅力的な、解けた謎』という、成しがたいパターンを叶えてくれるといいなぁとか。
いやホラ、謎は常に(ある程度以上は)謎のままである方が魅力的じゃないですか?
でも『謎』が彼女の魅力ではあっても、それが彼女の魅力の全てであるとは思えないので、その辺りを上手くクリアした物語展開になるといいなぁという話で。
あ〜…何だかグダグダにまとまらぬ話で陳謝(^^;;)
まだ姿さえ見えぬ、惑星を砕くという『魔法使い』の目的と思惑。
『姫』に近い戦闘力を持つという、幻獣の名を冠ぜられた謎の三つの存在。
『姫』は何故狙われるのか。『姫』はパートナーなく、単独で『姫』なのか?
「またしても敗れるのか」という、過去の敗戦を想起させる、あたかも『これが初めてではない』とでもいうような言葉の意味は。
夢の世界で(恐らくは現実で出逢うよりも以前に)夕日とさみだれが出逢っていたのは何故なのか。
次のパンツの柄は何なのかっ!?<をい
数々の謎に思いを馳せながら、続巻の刊行を心待ちにしております<…とか言いつつ、雑誌で読んでいるのですが(^^;;)<でも、やっぱりまとめて読んだ方が断然に面白いしね



かみちゅ! 1 (電撃コミックス)かみちゅ! 1巻/鳴子ハナハルメディアワークス
一橋ゆりえはどこにでもいるような中学生の女の子。でもある朝、目が覚めたら突然『神様』になっちゃってました。
自分が何の神様かも分からないこの新米の神様は、ちょっと風変わりなクラスメイトの男の子に恋する、ちょっとドジでちょっとぼんやりさんな、ごく普通の、でも、とっても優しい女の子。
神様のお仕事も、大きな力の使い方もよくは分からないけれど、毎日一生懸命に頑張っています。
…というワケで、アニメ作品『かみちゅ!』のコミカライズ版ですが、このマンガ版から読んでも普通に楽しめる出来になっていますので、アニメ未見の方にもオススメしたい良作です。
で、もしマンガを読んで「面白い!」と思われた方がいらっしゃいましたら、アニメの方も是非。
単純なコミカライズではなく、オリジナルのアレンジやエピソードもあるので、アニメしか観ていないという方にも推奨<でもアニメを観た方は、薦めるまでもなく既に買っておられそうですよな(^^;;)
手探りながらも人の助けになろうと頑張る新米の神様で、でもやっぱり『女の子』なゆりえが可愛いですよ。
でもってアニメでもそうでしたが、マンガでもやはり付喪神系のネタにはウルっとくるなぁ…。
人間の『想い』によって生まれて、けれど、だから人間の『忘却』によって消えてしまう、物に宿る神様。
流行り廃りが激しく、新しい製品が次から次へと生み出されては消費されていく現代。
自分もそうですが、『便利』が当たり前になってしまい感謝の心を忘れがちな人が多い今の時代の日本に、物に宿る神様方はどの位残っておられるものだろうかなぁと。

■今日は期せずして『朝、目が覚めたら突然に!』な2作品の感想になりました。
でも、ただ同じ繰り返しの延長にある気がしている我々の『明日の朝』だって、ひょっとしたら『いつもの』ではなくなるかもしれませんよ?<まぁ、現実的には恐い方向への変化になりそうなのが難ですが(^^;;)