06/2/24

■蟲師 7巻/漆原友紀/講談社蟲師 (7)  アフタヌーンKC (404)
いつもの『蟲と人』との物語も魅力的なのですが、今巻は久しぶりに『蟲と蟲師』の話が綴られていたのが嬉しかったです。
というワケで『棘のみち』。
作品世界ではそこここに偏在し、時に『人に添う隣人的な存在』ではあっても、決して慣れ親しんだり利用するものではない蟲。
時に怪異であり、時に奇蹟。それを悪く厭うも善く思うも、敵にするも味方にするも、全ては人の解釈や都合であり、蟲そのものはただ、その生と営みを紡いでいるだけ。
蟲によってもたらされた変容やしがらみ、あるいはその異形に覚える憧憬や畏怖。…ネガポジいずれにせよ、それによってもたらされた情動を抱きながらも、知識と探求心をもって中庸のスタンスを貫くのが蟲師というものなのかなぁと漠然と思っていたのですが、このエピソードの主役であるクマドの在り様は、そんなイメージにまた違った視点をもたらしてくれたなと。
知識も知恵も記憶も持ちながら、それでもクマドが失ったという『たましい』とはどのようなものなのか。
ここに来て、物語の深淵に横たわるものとして存在することを知らせた『禁種の蟲』とは何なのか。
以降へと続く物語を待つ間、そのあたりに思いを馳せてみたいと思います。



■STAYプリティ First Love/西炯子/小学館First Love―Stayプリティ (フラワーコミックス)
ダム建設により5年後には水底に沈んでしまう山間の小さな村に、新任教師が若妻を伴い赴任してきた。
新婚ホヤホヤな教師夫妻の存在は、子供の頃から家族同然に過ごしてきた愛と賞、そして周辺の人たちの関係にも小さな波紋を生じさせる。
そうして若く幼い恋情や、あるいは積年を経た愛情が迎えた、おだやかな終わりの形。そして未来へと繋がれていくもの。
分かり易く物語を煽るようなドラスティックな展開はないのですが、どこかで見たような、どこにでもありえそうな、些細で小さな出来事の一つ一つがほんわりと温かく感じられました。
素朴で分かり易い、『真っ直ぐでピュア』(とかいうと、何となく『若さ故の過ち』的な暴走具合を連想しがちなのは自分だけですか?)なのに味わい深い、愛の恋心と賞の気持ちの動き方が非常にツボでした。薄味な甘酸っぱさなのにコクが利いているというか?<謎な形容
『STAY』本編後の松木先生と洋子ちゃんのさりげな新婚ラブラブっぷりにも萌えました。
次の『STAYシリーズ』が、誰をチョイスしてどのような物語を魅せてくれるのかが今から楽しみです。

■さくらの境 2巻/竹本泉/メディアファクトリー さくらの境 2巻(MFコミックス)
女の子3人と猫10匹のぼーっとした生活に、ちょっと百合風味(笑)も足しつつえがく『ぼんにゃり』なマンガ。
外ではクール系しっかりさんな美少女(今巻ではついに生徒会長に!)なのに、さくらの側では甘えまくりでベッタリ依存な二子は、今更的に気付いたのだが『クールデレ』なのだろうかと?
「たとえて言えば、ふだんのエベレスト山が、家では高尾山みたいな」という一子の台詞は、二子の萌えポイントを的確に捉えた名言だなぁと感心。
でも高尾山も、実際に登ると結構大変なんだよ〜う?(^^;;)
「側で甘えられるとちょっと重い時もあるけど、いなくなると何だか寂しい…」というさくらの心の動きがかわいかったです。何だかんだでラブラブの相思相愛?<とかいう程生臭い関係ではありませんが
でもって竹本作品の猫はどの子もかわいいなと。
余談ですが、昔自分が飼っていた猫たちの中には、作中の①〜③以外に『掃除機と戦おうとする猫』がおりました。
掃除機を使おうとすると猫魚雷(低い姿勢からうなり声と共に体当たり)に襲われるという恐怖を思い出しました(笑)