06/6/28

■STAYネクスト 夏休みとカッパと／西炯子／小学館
むかし、ひとりの女の子がふたりの男の子に言った。
「わたし カッパをみつけたほうと結婚してもいい」
幼い頃の小さな約束を胸に秘めたまま迎えた高校最後の夏休み、3人はカッパを探しに遠野へと旅立つ。誰もが口にはしなかったけれど、『これが最後』だと感じていた…。
既刊同様に、この3人の話で1冊やるパターンかと思っていたら、1話できれいに終わってしまいました。が、それゆえに密度が高く、より美しくもなったエピソードでした。短編でも長編でも、著者氏のえがく物語の余韻はいつも深く、遠く。
このシリーズの佐藤のエピソードにチョロチョロと出ていた井上が主人公の短編も収録。収録4作の中で、この話が一番好きでした。
糸目で柔らかい関西弁で口を利くぼんやりと捕らえ所のない和み系かと思いきや、恐ろしく情熱的だった井上。クローズアップされた井上のキャラクターと、その恋情には猛烈に惹かれましたよ。これでおしまいというには惜しいキャラだよなぁ。