邪眼は月輪に飛ぶ/藤田和日郎/小学館

邪眼は月輪に飛ぶ (ビッグコミックス)『むかしむかし』…その目で見た者を全て殺してしまうフクロウがいた。一度は名うての猟師に撃ち落とされ、だが人の悪しき欲望により国外へと持ち去られて命を永らえたそのフクロウは、それから13年の後、東京湾座礁した米軍の空母から再び空へと飛び立った。
わずか3日で死者420万人…対象を選ばず人命を奪い、日本の政治経済に甚大なる被害を与えたミネルヴァ。
それを狩り、事態の収拾を図るべく極東の地に降り立ったのは、CIAのエージェントとデルタフォースの准尉…そして彼らに助力を求められながら一度はすげなく追い返したものの、祈祷師である娘・輪の強引な誘いにより、かつてミネルヴァを打ち落とした猟師もその重い腰を上げた。
立場も意思も異にしながら『人知を越えた存在』との死闘に臨む4人は、果たして視線により呪毒をまき散らす災厄・ミネルヴァを打ち倒すことができるのか!?
悪しき怪異に挑む4人も、そして標的であるミネルヴァも、皆が拭えぬ哀惜を抱えながら力強く生きて戦う姿が…いやもー熱くて泣けますよ!久しぶりに『うしおととら』を読み返したくなりました。
でもって燃えと同時に、輪の生命力に満ちた清廉さと巫女装束に萌え。魂清く、姿麗し…藤田ヒロインはどの作品でも素晴らしいですな!
『「邪眼のフクロウ」が、オレとウヘイ達の物語の幕開けじゃったのさ』という語り口は、続編を期待していいのだろうかなと? これっきりでお別れするには惜しい登場人物たちなので、ぜひまた1巻完結のシリーズとして彼らに再会してみたいものです。