新世紀エヴァンゲリオン 11巻/貞本義行/角川書店

新世紀エヴァンゲリオン (11) (角川コミックス・エース (KCA12-11))心を許し、預け、分かち合った人たちとの別離と隔絶に絶望するシンジが『敵』として対峙を余儀なくされたのは、積極的にシンジと関わろうとして摩擦を繰り返し、かたくなにシンジが拒み続けてきたカオルだった。
『最後のシ者』…それは誰にとって、何のために遣わされた者だったのか?
『失う苦しみを味わうのが嫌だから、友達にならない』という拒絶は、裏返せば既にそれが『失うのがこわいものになっている』ということ。
恐れの根元を相手に伝えることもできず、たったひとつできたのは…その命を自分の手で奪うことと引き替えに、相手の存在を自己の中に『永遠』として遺すことだけ。
執着・愛着・哀惜・憐憫・悔恨・贖罪…その手を掴めぬ場所へと失ったもの。
一連のエピソードの流れの秀逸さに感情移入し過ぎたせいか、ごく個人的な喪失の『事実』だけではなく、付随する様々な記憶や感傷を喚起させられて、ちょっと遠い目になったりしました。
…いや、殺してませんが自分は(^^;;)
巻末で『DEATH & REBIRTH』の展開へと移行したマンガ版の今後が楽しみです…というかアスカの復活を!あと、マンガ版では何とか救済を切望。
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9/1公開。全4部なので、本当はDVDリリースを待って一気観したい所ですが、結局気になって劇場に観に行ってしまうのだろうなぁとかいう予想。