潔く柔く 5巻/いくえみ綾/集英社

潔く柔く 5 (マーガレットコミックス)小4で事故に遭ったあと東京に引っ越した禄ちゃんが、高校生になって町に帰ってきました。新しいクラスで隣の席に座る男の子と女の子、それからクラスのみんな。みんないい子達で、毎日いろいろあるけど禄ちゃんは楽しそう。
そんな禄ちゃんを、ワタシはずっと見ているんです。ただひたすら、見守るだけの存在です。ワタシの名前は   
1〜4巻で語られた『ハルタを喪った人たちと、それに関わる人たちのお話』と同様、遺された者の葛藤と心の痛みをえがく新シリーズ。
暖かい視点で淡々と綴られるモノローグはただ優しくて、だからこそ、生きて心の檻の中でもがく人たちの哀しみがより深く染み渡る感じがします。
今を生きる者だけが、思い、悩む。自分を許せるのは本当は自分だけだとしても、誰かの赦しが大きな助けになる。そんな温もりが愛しく切ない、物語が辿り着く先を自分もただ見守っています。