ぼくらの 7巻/鬼頭莫宏/小学館

ぼくらの 7 (IKKI COMIX)戦闘中に逃走した敵パイロットが、コモのピアノ発表会へと姿を現した。ピアノと対話し、世界に感じる愛を高らかに謳うコモの演奏は、自分の世界に絶望した彼の心に何を響かせたのか。
そして次なる操縦者のアンコは、疎遠でありながらも敬愛するTVキャスターの父と、『報道』を通じて向かい合う。
戦う娘の居るコクピットから、それが文字通り『命懸け』であることを知らぬまま中継に臨む父は、そこに何を見出すのか。
人知れず世界を護るための戦いを続けてきた少年少女の、ごく個人的な物語を主眼に綴られてきた物語ですが、状況の進行と国家機関の介入により、周知となった彼らをとりまく『社会』の目線がえがかれるようになってきました。
生物的な『世界』よりもある意味では過酷な社会的『世界』の干渉。見も知らぬ、だが身近な『敵』と『味方』という要素の参入は、彼らをどこへと誘うのか。
残り少なくなった『ぼくら』の戦いの果てに現れる地平線。その場所。そしてそこに広がる光景と風景。物語が何を見せてくれるのか…それを恐ろしく思いながらも、心惹かれてなりません。