09/5/11〜5/14

■ 『花と奥たん/1巻』

花と奥たん 1 (ビッグコミックススペシャル)

花と奥たん 1 (ビッグコミックススペシャル)

東京近郊の住宅地に建つ4LDK一戸建て。新婚の奥たんは、仕事で帰りが遅い旦那たんを待ちながら、今日も愛する人のためにと美味しい晩ご飯を一生懸命に作ります。
そこは電気や食料の安定供給を欠き、私たちが『当たり前』と思っているものを容易くは口にできなくなった世界…そう、全ては一年前、都心に巨大な『花』が現れた日から…。
日常の延長に芽吹いた非日常を舞台に、それでも地に足を着けて『生活』を続ける奥たんの食卓に並ぶのは、溢れる愛情、そして逆境に抗う夢が詰まったとびっきりの『ゴハン』。
読んでいて思い出したのが、矢野顕子の「食べたものが 私に(あなたに)なる」というというフレーズが印象的な、『You Are What You Eat』。
それはとても自然で、私たちを形作るための大切な『約束ごと』。「いただきます」と「ごちそうさま」を繰り返しながら、なのにその言葉の大切な意味を、どうして容易く忘れてしまうのだろう…。

…とかいう真面目な話はさておき、とにかく出てくる食べ物がことごとく旨そうなので、空腹時には辛い本ですよ。
そして『食べる』奥たんはとても生命力に溢れていて…とてもエロいです(笑)
ああ、でもソレこそが『命』ってことか。

■ 『論理少女/1、2巻』
論理少女(1) (シリウスKC)

論理少女(1) (シリウスKC)

論理少女(2) (シリウスKC)

論理少女(2) (シリウスKC)

その場にあるものでゲームを作り、互いに解き合う『津隠問答』。この奇妙な勝負が流行する中学校に転入し、早々に敗北という洗礼を受けた若野が出逢ったのは、論理を尊ぶ生徒会長・天才少女のいつきだった。
彼女に窮地を救われたことから生徒会入りした若野はいつきと共に、学校中で吹き荒れるこの奇妙なゲームに次々と挑むことになる。
論理や数学のパズルをバトル条件に据えた学園ゲームバトル作品。
物語へのネタの組み込み方は面白いなぁと思うのですが、作画と演出に少々物足りなさも感じたり。ぶっちゃけ絵的な魅力が弱い気が(^^;;)
キャラクター性の彫り込み(見せ方)をもう少し工夫するとかなり面白くなりそうな題材なのに、そこが損なわれているのもまた惜しい所だよなぁと…まぁその辺りは今後の進化に期待しつつ、何だかんだで気になる作品ですよ。
『学校』という閉鎖された舞台で、今後の物語がどういった方向へ展開していくのか、成り行きを楽しみに見守りたいと思います。

■ 『シュトヘル/1巻』
シュトヘル1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

シュトヘル1 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

多くの人が死に、あらゆるものが燃え落ちる悪夢に悩まされる須藤。だがある日、転入生の『スズキさん』と出逢ったことで、彼は男子高校生という日常のくびきから解かれ、自分が見た『悪夢』の世界へとその魂を置くこととなる。
その悪夢の舞台は、13世紀初頭のモンゴル。『悪霊(シュトヘル)』と呼ばれ恐れられた女戦士と、一族を敵に回した幼き皇子は何と闘い、どこへと向かうのだろうか?
舞台と状況、そしてその軸となるシュトヘルとユルールの立ち位置の説明で終わった初巻は、物語の全容も、その向かう先も、何もかもにまだまだ謎が多過ぎて、須藤少年の「話が長い割にちっともまったく全然見えてこないんだけど…」という言葉は、そのままそっくり読み手側の感想なのですよな。
しかしそれでも、「だから早く続きを!」と渇望せずにはおられない魅力に満ちた作品で、掴みはバッチリというか、バッチリ掴まれてしまいましたよ。
『スズメ』と呼ばれていた少女が、いかにして『悪霊』なる女戦士となったのか。一族を裏切ってまでユルールが守ろうとする石版『玉音同』には、どんな謎が秘められているのか。この先の展開に大きな期待を寄せつつ、一刻も早い続巻の刊行を待ち望んでいます。
あと、著者氏はにゃんこもいいけど、わんこもいいですなぁ。
『流星掌』…避けられる気がしない恐ろしい技だ。てか、残り68の必殺技もこんなんなのか!? か、勝てね〜!(笑)