Blue Valentine's Day@嘘喰い


■ 梶ちゃんは『女運』が悪そうだが、斑目さんにはソレすらない(笑)



■ 祝日で発売日が前倒しになるのを忘れていて、出勤したら同僚から「YJ読んだ?」とか聞かれて絶望しました…休憩時間に速攻でコンビニに走ったヨ!
…というワケで、今週の179話感想。
■ 『斑目どっきりマル秘報告』(笑)な、恐喝コンゲームの種明かし。
今までの『命の取り合い』だった相手と比べれば、緒島は有名人とはいえ能力的には一般人なので、斑目さんによる鮮やかな電撃制圧戦…てか一方的な蹂躙具合には、もう何だか不憫な気持ちにもなったり(^^;;)
■ 事後、相手が恐喝に屈した(自分の優位を確定させた)と見るや否やの「オッシー」呼ばわり。この『自分との上下関係を相手に明確に認識させ、服従に足る威圧とする』という人心掌握(&操作)の流れの巧みさも流石。
■ その際の斑目さんのワルそ〜な表情がまたたまらんちうか(笑)
…とか思ったらふと、「作中での斑目さんの絵的な顔付きが安定していないのは、それが『現象の撮影画像的な客観の描写』ではなく、『斑目さんと相対している人物の主観を通した描写』だからなのではなかろうか? だから実は、『読み手の誰もが実像としての斑目さんの顔を知らない』のでは…」とか考えたりしました<うーむ、妄想乙。
■ しかし梶ちゃんとマルコをご丁寧に本名で紹介していたのがちょっと気になったりとか。作戦の一環でないならば、格下相手とはいえ随分と迂闊だなぁというか、緩んでいるような?
そいや先週の斑目さんは、自分も名乗っていましたっけ、ませんでしたっけ?
■ ともあれその斑目さんが欲するのは、オッシーのステイタスであるマスコミへの影響力か。あるいはオッシーがLファイルへと至る要因になったであろう、彼の持つ人脈か。あるいはまだ開示されぬ何らかの事象の情報か…『ここからが本題』の来週の展開が待ち遠しいです。
■ あと梶ちゃんは免許を持ってたんだ…そんなん取る金あったんだ?
てか、いつ取ったんだ? ひょっとしたら免許取得の費用も借金に入ってたのか?<どうでもいいよw<でも気になるんだよ!

■ さて、ギレン総帥…もとい緒島。
その『犯行の背景』そのものは特にヒネリのない紋切り型のネタでしたが、冒頭の『現況に至る経緯』の描写は、彼を単なる『使い捨ての脇キャラ』という『記号』ではない、『一個の存在』として雄弁に語ってくれたなと。
また、それにより「彼は今まで斑目さんが相対してきたものとは異なる『敵』の形なのでは?」という印象も抱かせられたり(その辺りは後述)
■ で、緒島とLファイル。「彼は自分の独自ソースで追っていた殺人事件からソレに辿り着いたのか…あるいは彼自身の自動車事故そのものが、殺人事件(Lファイル)を追っていたことに起因していた(煙たがられてハメられた)とかだと恐いよなぁ」とか思ったのですが。
あ、そいやソレとは少し違うのですが、郁斗の時も「『利用できそうだから(Lファイルに)引き込まれた』のだったら恐いなぁ」と思ったなと。
…まー、コリャ単なる『国家権力を仮想敵とする陰謀論妄想』の延長による妄言ですが。
■ そのLファイル。
ファイルには『犯人・罪名・(証拠隠滅のための)金の流れ』が記されているだけで、『犯罪の証拠そのもの』はファイルに情報として記入されている段階では既に葬り去られている…よって、『ファイルに記された情報そのものには、何の実効性もない』ワケですよな。
■ …と、まぁその辺りの説明は11巻でカラカルが語っていた通りですが、今回、実際に斑目さんがソレを『効果的』に利用する様を見せてくれたことで、それまで『潜在威力』という名の曖昧なアイテムでしかなかったLファイルが、その内包する莫大価値をリアルに発揮し始めた気がします。
そしてファイルの『使い手次第』というピーキーな属性は、斑目さんの能力と魅力を遺憾なく発揮させるのにも有効かつ美味しいアイテムであるよなと(笑)
斑目さんの意図は未だかなり不透明ですが、このエピソードで彼が得るであろう何らかの『実利』が、この先の展開を大きく広げていくのだろうなぁと…この調子で『わらしべ長者』的に発展して、『屋形越え』にまで至るのでしょうかね?
■ とか書いて、「そいや今までの勝負は、それぞれが魅力的で実利あるものだったが、それが『屋形越え』に直結するような『有機的な連鎖』には感じられなかったかもなぁ」と思ったり。
これまでは、いわば『対岸に渡るための橋を造る木材を切り出している状況』で、Lファイルを手にした事により、ようやく『材料を組んで橋を造れる状況』へと移行したような?
まー『橋』が組み上がって対岸に架けられたら、今度はそこを『どのような戦力で如何様に渡るか?』というフェーズに移るのでしょうが…先は長いなぁ。

■ 以下、『敵としてのオッシーの在り様』を考えることから派生した、脳内グルグル話を私的メモとして。

■ 緒島は今まで斑目さんが『敵』としたような『ある種の悪意を体現化したような人物』ではなく、その存在は、虚栄心や増長は強めであるにせよ『野心と意欲に燃える一般的感性を持つ職業人』なワケですよな。
彼はとりかえしのつかぬあやまちを犯し、ことの露見により地位や名誉を失うことを恐れて犯罪を隠蔽し、けれど罪悪感を拭えずにもいる…多分。
斑目さんは『同族嫌悪』と言っていましたが、緒島が他者の轢き逃げを糾弾するのは(誤った形にせよ)贖罪的な代償行為であり、「逃げるな」と言う言葉は他ならぬ自分に向けられたものだったのではなかったのか…というのはまぁ、自分の「かくあって欲しい」という、センチメンタルな道徳心の希求に過ぎぬかもしれませんが、作中の緒島の言動の端々には、かつての『敵』にはなかった『迷い』のようなものが感じられる気がするのですよな。
■ 緒島の犯行そのものは許されざるものでしょうが、彼のあやまちや抱いた恐怖は「そうなった時、自分はどうするだろう?」と我が身に置き換えて考えられる範囲のものなのです。
今回『悪』という形で物語に据えられたものは、かつてあったような『歪んだ美学による嗜虐』や『偏った思想による暴力』を体現する者ではなく、ただ『犯した過ちと向かい合えぬ、人が誰しも持つ弱さそのもの』なのではなかろうかと。
…と、いう仮定を礎にした時、「では、斑目さんはそういうものに対してどのように処するのか?」という点がとても気になります。
■ また、Lファイルとは『犯罪者のリスト』であり、斑目さんがそれを『恐喝』という形で利用するのであれば、今回のこの件に限らず、それを利用する対価として『そこに記されたどのような罪をも黙認する』ことになると思います。
■ …いや、でもまんまソレだとエンタテイメント性を失うちうか、ぶっちゃけ読者の支持を得られないと思う(笑)ので、何らかの形で『断罪』なり『贖罪』にあたる展開は用意されると予想するのですが、それが『斑目さん』というフィルターを通してどう表現されるのだろうかなと。
そして、それに際する具体的な言動によって、未だ謎多き『斑目さん』たる人物の像が彫り込まれ、多少であれ部分であれ、彼の更なる何かが見えてくるのではないか…と期待しているのです。