10/2/9〜2/13

■ 『いぬまるだしっ/4巻』

いぬまるだしっ  4 (ジャンプコミックス)

いぬまるだしっ 4 (ジャンプコミックス)

『ボクの考えた○○』という一見ありがちな『新園児募集企画』が、よもやあれほどのオモロネタにまで昇華されようとは…著者氏グッジョブ過ぎですよ!
そして理事長のオススメとその理由には激しく同意!<いや…でもよく考えるとかなりヨモスエな状況だよな…
あと、たまこ先生の同窓会話が印象的でした。
『今と昔』という時間のギャップの面白さ。『自分の知らないたまこ先生がけっこういるということに、なんか悲しくなったいぬまるくん』への共感と、それを見送る同級生たちのコメントに感じる暖かさ。なのに「オチはソレか!」という笑い(出だしのフリとリンクするのも上手い)…様々な要素がスパっと嵌ったエピソードだったなぁと。

■ 『潔く柔く/11巻』
潔く柔く 11 (マーガレットコミックス)

潔く柔く 11 (マーガレットコミックス)

共にかけがえのない愛しい人を亡くし、良くも悪くもそのことによって『今の自分』があるカンナと禄。けれどふたりの在り方はあまりにも違い、カンナは禄へと悲しい問いを投げかける…「罪悪感はどうやったらなくなるの?」と。
互いの過去と今を知り、おっかなびっくりのぎこちなさで、触れ合ったり離れたりを繰り返すカンナと禄。それでも精一杯の『今』を生きようとするふたりの頑張りには…かけられる言葉は何もなくても、ただその手を握ってあげたいような、尊いものを感じられます。
そしてハルタと関わりその死に触れた人、その人と関わる人たち、それらを丹念にえがいてきた物語は、その最終章の焦点として一番の当事者であるカンナを迎える段に至り、これまでの全てを繋ぐように、あらゆる登場人物たちの『生きる今』を結び始めました。
生き続けていれば誰にも何かしらの傷はつく…けれどそれが悪いものばかりでないのだと、失ったそれが傷になるほど愛おしいものだったという幸せを、どうか彼らに、私達に伝えて欲しい。と、願うのです。

■ 『7SEEDS/17巻』
7SEEDS 17 (フラワーコミックスアルファ)

7SEEDS 17 (フラワーコミックスアルファ)

強い目的意識と使命感の元に闘わされ、あらゆるものを犠牲に生き残った『夏のAチーム』の安吾と涼。ふたりが出会ったのはその対極にある『夏のBチーム』。Bチームの人々は、使命も責任も負わない。生きるために楽しみ、その楽しみを生きる力に変えて前へと進む…何とも愚かで、しかし強い生命力に満ちた可能性の群れ。
優位の視点からそれらを導こうとする『傲慢さ』が、しかし『羨望』と表裏でもあることを、安吾と涼は気付くのだろうか?
涼による安吾への、『試験』という名の『療法』のまきぞえを食っている『夏のBチーム』ですが、ふたりのBチームへの『教え』(まー一方的な上に命がけなのでシャレになりませんが)はかなり有益です。また、逆にBチームが言葉ではなく存在と行動で告げるものが、ふたりに欠けた大切なものを示唆しています。
いずれ一連の真実が露見した時に波乱は避けられぬでしょうが、この歪な相互補完の関係が、ただ憎み合うだけのものにならぬよう祈っております<や、著者氏の采配はその辺りを素晴らしい形でクリアされると確信しておりますが。その様を早く目にしたいものです。

■ 『Are You Alice ?/1巻』
Are you Alice? 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

Are you Alice? 1 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

記憶を半ば失い不思議な街へとたどり着いたアリス(少年)は、ハートの女王が支配する奇妙な規律に縛られた世界で、自身の願いを叶えるべく『白ウサギを殺すゲーム』に身を投じる。アリスが望むのは『自分の居場所』…けれど真に望むのは位置たる『場所』ではなく、魂が存在を許される安息の『在処』。
奇矯で奇妙なものたちが紡ぐ『不思議の国』の物語。その謎が語る世界の秘密とは何か?
…とか、ソレっぽく書いてみたモノの、正直まだ何が何やらサッパリ。てか絵や台詞回しの雰囲気作りは上手いモノの、けれん味に突出していて内実の密度は低いような?
『アリス(少年)』という要素が気になったので購入してみたのですが、「定番ながらもそれなりに魅力的な謎はバラ撒かれているものの、画力任せの雰囲気重視で押してる感じで、謎そのものにはあまり意味はないんじゃないかにゃ〜?」的イヤな予感もしたり(^^;;)
うーん…だが奥様(幼女)は萌えだし、とりあえず次巻の展開次第かなぁと?<その理由はどうなのだ?

■ 『パラドクス・ブルー/3巻』
パラドクス・ブルー(3) (BLADE COMICS)

パラドクス・ブルー(3) (BLADE COMICS)

ストーリーの進行に応じて登場人物たちが試練を越えてゆく様を見ると、彼らの人物そのものや互いの関係性に於いての魅力は増してきたように感じられるモノの、対して物語の根幹にある『パズル的な謎』の意義が、それらと乖離してきたような…?
つか、中西氏の荒唐無稽で厨どり〜夢な設定&物語は、氏の無機的な絵柄で語られる分には気にならぬ(むしろ燃え要素である)のですが、nini氏のマンガ絵的に雄弁な画で語られると(その絵や描写が巧みであればあるほどに)逆に鼻につくなぁと思ったり…まぁこの辺は個人的な嗜好の問題か。
ともあれドラスティックに悪化していく周辺環境に彼らがどう立ち向かうのか、そしてかれらが闘うべき『天使』とは何なのか、そういった点への興味はいまだ尽きぬ(しかも早くもファイナルステージて…打ち切り!?<いやいや…(^^;;))ので、何だかんだ言っても以降の展開を楽しみにしております。

■ 『あまんちゅ!/2巻』
あまんちゅ!(2) (BLADE COMICS)

あまんちゅ!(2) (BLADE COMICS)

ぴかり&てこ、みーつ、オモロ愉快で頼もしい先輩ズ。
彼女たちが口にするのは、ごく当たり前の気持ちから生まれる素直な言葉。
けれど私達はいつもその『あたりまえ』の大切さや、その自然でありすぎるが故のすごさをうっかり忘れてしまう。
でも、可愛く凛々しく危なっかしいぴかりとてこが…ありのままを感じたままに、ただひたむきに走り出す彼女たちの姿が、そのまばゆさを思い出させてくれる。
ふたりが手を取り過ごすささやかで愛おしい時間、それを共有できるのが何とも心地よい作品です。
…って、何だこの分かった気になったような総評的文章! そーじゃないんだよな〜。でも自分の稚拙な文章力じゃ表現できないんだよな〜(T▽T)
この物語が、あの絵や描写と一体になる事で生まれる、作品独自の世界観と流れる絶妙な間。それを目の当たりにして感じる充足感。
私的に今巻では『ミーティング』のエピソードでソレを強く感じました。2次元の絵の世界から、空間だけでなく時間が広がるって、凄いよな〜。

■ 『海街diary3 陽のあたる坂道』
海街diary: 陽のあたる坂道 (3) (フラワーコミックス)

海街diary: 陽のあたる坂道 (3) (フラワーコミックス)

すずと姉たちの4姉妹は、父の一周忌に参列するために再び河鹿沢温泉を訪ねる。出会ってから一年…それぞれの日々を生きる4姉妹たちは、それぞれに迷いを抱きながら、それでも前へと進み続けていた。
姉妹で家族。姉妹だけどひとりひとり。けれど、もう一人きりじゃない。
世代も立場も越えた姉妹各々の葛藤や意識には、架空の存在でありながらもすぐ隣りにいるような親近感を覚えさせられます。
彼女たちや関わる人々、共感できるものもそうでないものにも、その全てに「ああ、そうやって『生きて』いるのだなぁ」と感じさせられ、そのことに背中を押されるような作品です。