2004/5/24

プラネット・ラダー 7巻/なるしまゆり集英社
連載中に掲載誌が休刊した時はかなりうろたえましたが、丸1巻分描き下ろしで最終巻の刊行。しかも世界設定やらキャラクターの心情やら関係やらの盛大に広げた風呂敷が、きちんと足を着く形で畳まれている…やはり凄いですよ、なるしま氏は<いや、結構多いじゃないですか、散々好き放題に大風呂敷を広げるだけ広げたあげく、きちんとソレを畳めない作品が(^^;;)
もし誰かから「ネームが上手いマンガ家は?」と問われたら、自分は著者氏を推します。日常から遊離した設定を打ち出しながらも、登場人物の足は地に着け、共感と説得力と遊び心をもった物語を華やかにえがける力は凄いですよ。最高のSFで、最高のファンタジーで、最高の成長物語です。しかも緊張感はあるのに気負った所を微塵も感じさせない物語。マンガを愛する人には是非読んで頂きたいです。
キャラ燃えや萌えについて語ると、野郎はクラが好きで、女子はかぐやとバンビちゃんが大好きでした。クラは強い人間の美しさと醜さを、かぐやは弱い人間の儚さと剛(つよ)さを見せてくれたのが燃えで。バンビちゃんは…かぐやに固執する姿が萌えでした。ただかぐやにもう一度逢うためだけに自分の行動を律し、かぐやの好きな皇子に「あんたどうにもむかつくのよねぇ」とか(自分の気持ちに)無自覚に言ったり、あげく支配者に対して「あの娘は私がもらうの。貴方にもあげない」ですよ!うわ、萌え!萌える!<結局ソレか(^^;;)
あっさりショコラ(仮)/いくえみ綾集英社
事前に刊行予定表でチェックして、てっきりタイトル確定が間に合わなかったがゆえの仮タイトルだと思っていたら、コレが正式タイトルでした。書店で現物を見た瞬間に思わず吹き出しました<比喩ではなく本当に(^^;;)。
その終わりがハッピーエンドでもそうでなくても、著者氏の作品からはいつも『優しさ』を感じます。悪意や劣等感や嫉妬や怠惰をえがいていても、それはいつも心の深い部分をそっと叩いてくるのです…って、何だかクサい言い方にしかならないなぁ。
今回一番好きだったのは『ベビー クラウド ノー レイン』。頭は少しあったかいけれど溢れる愛をもった女の子をかかせたら、著者氏は天下一品ですよ。ぶっきらぼうでものぐさで、でも優しい気持ちをきちんと受け止められる男子もいいです。道はいつでも前へと繋がっている。そんな孤独と、それでも独りではないという温かさ。
メテオ・メトセラ 6巻/尾崎かおり新書館
この作品を読む度に思い出すのは『君の名は』<いや、流石に自分も現物のドラマは見ていませんが(笑)。好きな人と手を繋いで歩いていきたい。ただそれだけなのに、それだけが、ただ、ひたすらに遠い…とかいうようなすれ違いっぷりが悲しいやら萌えるやら。ユカの蒼(くら)い願いと、レインの輝ける願い。酷薄な世界の中で小さく明るく輝くマチカの想い。絡み合いすれ違いもつれ合っていく思惑がどのように結実するのか?ソレを見届けるために、この先もこの作品を追っていきたいと思います。
エマ 4巻/森薫エンターブレイン
19世紀末、未だ身分制度で律せられた倫敦での、メイドと貴族の身分違いの恋物語。一度は離れた二人の再会は、あまりにも残酷な形で突然に…つ〜か「それだけはやっちゃなんねぇだろウィリアムよ〜(T▽T)」という展開と、しかしソレゆえの感動の再会が…あああも〜ど〜なるんだこの先!続き!続きを読ませてくれ!
ソレはソレとして(え?)今回の萌えは、凛々しくも妹大好きなモニカ姉様。次巻、多分その姉様が大爆発するだろうなぁとか(^^;;)。ドロテア奥様も前巻から引き続きの萌えで。今巻も奥様の悩殺シーン満載で目が離せませんでしたね(笑)<いやマジで。アレは素敵な女性ですよ。
豪放ライラック 1巻/桑田乃梨子ワニブックス
タイトルから「男勝りの強気さであっけらかんと豪快なヒロインが主人公か?」と勝手に予想していたらば、全く違った方向に豪快な天然ヒロインで、唖然とするやら笑うやら。でも多分、実際にこのタイプが傍にいたら副寮長のように激しく疲弊しそうだなとも思ったり(^^;;)。そんな「どこへ行っても面倒見られるタイプ」のやる気だけが空回りする天然トロっ娘で箱入お兄ちゃん大好きっ子(だが目指せ脱お兄ちゃん)な主人公による、女子高(寮入り)物語、開幕<長い!。一応野郎キャラも出てくるのに微塵もラブでコメな展開になだれ込まないのも著者氏のいつものパターンで、歯がゆくもソレはソレでよし!(断言)…と言いつつも以降にちょっぴり期待するラブコメスキーな己です。
それはそうと、登場脇役の野郎が著者氏の白泉社既刊作品に出たキャラの弟だと知りその既刊を読もうと思ったものの、自室のどこに格納されているのかが判明せず涙を流す深夜です…本棚のどこに入れた(あるいは床のどこに積んだか、もしくは押入れのどこに格納した)かなぁ…(激しく遠い目)