2004/9/28

ばらいろすみれいろ/あとり硅子新書館
7月に急逝された著者氏の、最後の作品集。
日常にありながらもそこから少し遊離した感覚を、あるいは非日常にありながらも日常性を感じさせてくれる。そんな一見相反する微妙なアンバランスさにも違和感を感じさせず、むしろ心地よさをもって普遍的な(そうであれと願う様な普遍性や)温もりを表現する作品をえがかれる著者氏でした。
もう、どんなに待っても待っても待っても、待った所で、永遠に新作は拝めないのかと思うと、とても、とても寂しく思います。
己もいずれは著者氏の事を忘れてしまうのでしょう。
けれど、何かの会話や折に触れてはその度に著者氏の作品を思い出すのでしょう。
人がものを語り、それを伝えていく事の意味について、思いを馳せます。答えは出ませんが、ソレは創造主にも、読み手にとっても、とても幸せな事である気がしてなりません。
心からの哀悼と、感謝の意を捧げさせて頂きたいと思います。
あとり硅子コミックリスト