2004/9/30

PLUTO 1巻/浦沢直樹×手塚治虫小学館
人類とロボットが共存する理想世界。だがそこで、世界最強と言われる7体のロボットの内の1体と、ロボット保護団体幹部の殺害事件が起こる。その犯人を追うのは、自身も最強の7体の内の1体である、ロボット刑事ゲジヒトだった。
絶対に続きが気なって仕方なくなるだろうから、完結するまでは買う(読む)まいと思っていた(同じ理由で『20世紀少年』は完結するのを待っている)のですが…つい買って読んでしまいました。そしてコレまた予想に違わず面白いし…2巻はいつ出るのでしょうかねぇ?(T▽T)
MONSTERと同じく、短いスパンで纏まったエピソードを見せながら、テンポ良く作品世界を掘り下げ広げて大きな流れの物語を語る手法は、鮮やかの一言に尽きます。原案である手塚大先生のアトムの話は未読なのですが、こうなったら完結するまでは読まずにおこうかと。
ギャラリーフェイク 31巻/細野不二彦小学館
日本であれ世界のどこかであれ、手の届きそうな範囲であれそうでなくあれ、望むまいとそうであるまいと、美に触れ、求め、それを美として認知し、何らかの形でそれに係わるのはいつでも『人間』であるのだろう。コレはその『美』と『人』を繋いで巡る物語。とかね?
30巻を越えても衰えぬ面白さの今巻の、私的な見所は表題作にもなった『薔薇と怠惰』。優れた才能と技量を持ちながらも怠惰で、ええカッコしぃなのに意外に小心者で、悪そうな事をしていてもお人好しな部分があって、くたびれた中年なのにそこまでを含めてカッコいい藤田。そんな藤田の側にいて見守ったり助けたりして思いを寄せながら、時には煮え切らぬ藤田の態度に怒ったり心を揺らしたりしながらも、決して藤田の姿を見失わないサラ。2人の不器用で微笑ましい関係が読み手にも嬉しく感じられるエピソードでした。藤田よ…もっともっとサラを大切にするように!(笑)
ギャラリーフェイクBEST/細野不二彦小学館
31巻と同時発売の、描き下ろしである若かりし頃の藤田のエピソード作品を収録する、作者自選によるベスト集。装丁の格好良さに惚れ惚れしながら懐かしい作品を読み返すと、コミックス刊行時にも印象的だった作品が網羅されていて嬉しい気持ちになったり。面白い作品は何度読んでもいいものだなぁと再認識。本作を未読の方には、お試し版としてお奨めしたい1冊です。もしお気に召せば既刊も是非。未収録の面白い作品はまだまだあるのです。
既刊読者として嬉しいのは、やはり描き下ろし作。ぶっちゃけ後付け的な設定ではあるのでしょうが、「サラはず〜っと昔から藤田の女神だったのだなぁ…」というエピソードには大変に萌えさせて頂きました。ちっちゃいサラもやっぱり可愛いです。本編でも進みそうでなかなか進まない藤田とサラの関係ですが、そのもどかしさを楽しみつつも、サラには早く幸せになって貰いたいと願わずにはおられません。