2004/10/5

彼氏彼女の事情 19巻/津田雅美白泉社
全ての根幹でとも言える、有馬の2人の父に関する物語。状況と人物の心情を丹念にえがく手法と画面の作り方は好きなのですが、時折セリフが舞台劇の様な言い回しになっているのがちょっと気になったり。あと、構成的には仕方がないとは思うのですが、雪野が完全に傍観者になっている点で今ひとつ物語に入り込めないというか…様式美的な形式は嫌いではないのですが、その度合いが少々強く出過ぎて来た点が鼻につく面もあるなと。
ともあれ(雑誌連載も見ると)そろそろ総体的な締めに入る物語の展開は気になっているので、その辺りに期待しつつ先行きを見守りたいと思います。
まるごと川原泉 第2号/川原泉白泉社
著者氏の作品を集めた雑誌増刊の2号。昔読んだ作品をこうして数年ぶり(下手すると十数年ぶり?)に読み返すと、新たな発見や感動があったり、当時を思い出したりなどもして感慨深くもあります。良い作品は、本当に色あせません。
ヴァンデミエール』や『大地の貴族』を読んでいてふと、「ああ、自分が好きなのは著者氏がえがく『誠実さ』なのだなぁ」と今更ながらに思ったりしました。ひたすらに前を向き俯く事を知らぬ、小さく柔らかく灯るあかりの様な暖かい優しさ。自分の陳腐な言葉にするとどうにも薄っぺらいのが悲しいですが、この気持ちは著者氏の作品を読んだ事がある方には何となく分かって頂けるのではなかろうかと。
自分にとっての川原作品は、日常に疲れた心を潤す一服の清涼剤です<…とかいう言い草が陳腐だっつ〜んだよ(T▽T)