2004/12/3

アイシールド21 11巻/原作:稲垣理一郎・漫画:村田雄介集英社
アメリカでのデス・マーチエピソードを終え、全国大会へと臨むデビルバッツ。大戦のトーナメント表では、全参戦チームのマスコットから評価までが細かく網羅されておりますが、そこまでやっても既存で焦点を当てているチーム以外の試合模様はダイジェストでスルーされるのであろうかと思うと少々遠い目になったり。反面、「こんな所まで細かく…」と感心したりします。
相変わらず『リアルに考えるとツッコミ所の多いネタ』も多数内包しているのですが、逆にそのツッコミ所を解消させる『作品世界に慣れたファンの既存認識』と『マンガ記号的な表現の活用による、暗黙のお約束の積極的発露』という要素をあらかじめ織り込む事で、説明を省略しながらスピーディーな展開を試みている点には、非常に心地よさを感じています…って、何言ってるんだ自分?(実は今日のテキストで、コレの感想を一番最後に書いてます。もう酒で脳が焼けてる…)
分かり易くえがかれる『友情・努力・勝利(?)な感動エピソード』は、しかしソレを『分かり易くえがける』という事に対して素直に凄いと思いますよ。生まれてこの方、一度も体育会系団体に所属しなかった自分が、それでもこの『積み上げた努力』や『報われなかった努力』や、『それでも(多少ご都合的だなあとは思いながらも)その不発の努力が結実する事を思わせる未来へと続く希望』に対して感動できるのですから。
BLEACH 15巻/久保帯人集英社
場を盛り上げるためだけに出てくるアイテムや、科せられる戦闘条件(時間や空間の限定、あるいは発動ペナルティー付き必殺技等)や、「今思いつきました」的設定にどんどん磨きがかかっていくなぁと、ここまで来ると逆に感心&今後に期待(笑)
『(パワーアップの予備段階としての)その場しのぎの特訓エピソード』(加えてまた『本物はど〜れだ?』パターンだし…)は流石に飽きてきましたが、まぁ夜一さん(萌え)のする事だからいいかと単純納得。そしてそんな夜一さんの温泉に入ろうとする際の挙動で、「下着を上ではなく下から脱ぐのは非○女」(あるいは「全裸を衆目に晒された時に下を隠すのが○女」だっけな?)とかいう説を思い出したり<下世話だな(^^;;)
でもって今巻も冴え渡る、合間ページの小ネタ。『敗者が死』なフットサルってどんなんだ?加えて何故ガキ(推定小学生)が『12冊の円卓のエロ本の内の1つ「ジャンボ巨乳大王」』なるミラクルアイテムを所有しておるのだろうかと?
ちうか『12冊の円卓のエロ本』の、残り11冊のラインナップが非常に気にかかりますよ先生!『大陸産チャイナ闘女(フトモモチラリ)』とか、『エターナルドリーム女子高生(魅惑のセーラー服、いやいやネクタイ&ブレザーも外せねぇ!)』とか、『イノセンスメガネっ娘委員長(聖域)』とかあるのか!? 対極には『リトル貧乳小公女(スク水希望)』とかあるのか!? どうなのだ!<いや、どうでもいいから<いやいやどうでもよくないヨ!<つ〜か自分の趣味が分かり易く露呈してるよ(^^;;)
著者氏にはこの小洒落た絵&スカしたキャラ造形で、単発読み切りなハイテンションバカ青春マンガを描いて頂きたいなと切望。猛烈に面白い作品になると思うのだがなぁ…短編なら(破綻しがちな)設定や伏線も必要ないですし。マジで熱烈希望。
…マズい…今度こそファンの人から怒られそうだ(^^;;)<不快に思われた方面には瞬時に土下座しますのでご容赦下さい。
鉄腕バーディー 7巻/ゆうきまさみ小学館
この物語が、安易に盛り上がる『超人バーディーがベラボウに大暴れで大活躍の超展開!』とかいう分かり易くヒロイックな展開にならぬのと同様に、萌えるラブコメ方向に向かえそうでも決してそうはならないバーディーと千明君の交流模様。
非日常を扱いながらも徹頭徹尾地に足を着けて展開するのがこの作品の魅力ではあるのですが、そのストイックさに寂しさを覚える部分もありますよ、とかいう話。まぁその辺は巻末オマケマンガでフォローされているのでいいかな(というか本編のこの流れからそんな浮かれた展開になるのも微妙だよなぁ)とも思ったり。
今巻は、バーディーが己の体での行動も宇宙船の使用も禁じられて、(読者が意識や価値観を共有しやすい)一般的な地球人(の日本人の、ごくごく一般的な高校生男子)であるつとむとして活動せねばならなくなった『日常生活』の様子を見た事により、逆にバーディーそのものや、彼女の背景事情と彼女にまつわる一連の『非日常』的な事件の異質さがより鮮明に感じられたのが面白かったです。
そして同時に、その事でつい『非日常』の物語世界とその展開に慣らされた認識が引き締められたようにも思いました。流れを途絶えさせる事なく付けられたこの緩急が心地よいですよ。著者氏のストーリーテリングの巧みさにも改めて感心させられた次第。