2004/12/23

イヴの眠り 3巻/吉田秋生小学館
静と同じ顔を持つ『夜叉』死鬼が、『龍の娘』アリサと邂逅。人類を越える能力を持つが故に、安寧とはほど遠い運命をも背負わねばならぬ彼らの戦いに終わりはないのか?
強力な敵の一方的な攻撃を受けて応戦する事で展開する物語様式は前作の『YASHA』と同じなのですが、前作程入り組んだ力関係の構造はないので、以降は人間関係とキャラクター描写を軸に展開していくのかなと? ボチボチ死鬼の内面描写を掘り下げたエピソードなんかも読みたい所です。今のままだと『強大なキ○ガイと戦い、それを駆逐するためだけの話』になってしまいそうなので(^^;;)
ぼくらの 2巻/鬼頭莫宏小学館
夏期合宿に集まった子供達が遊び気分で参加したゲーム。だがそれはそのまま世界の、そして彼ら自身の『命』運を大きく揺り動かす。誰も死など望んではいなかった…だが、自身の『死』が絶対的な確実さで訪れると知った時、その覚悟が『子供』を『大人』へと変える。
本来はもう少し長い時間をかけて「あ〜でもないこ〜でもない」と行ったり来たりしながら悟(ったつもりでまた迷ったりす)る『自分のためだけの自分の真理』に、限られた時間で到達していく子供達の真摯な心向きをみているだけで、胸が押しつぶされそうになります。
人間という『種』として代替が利かない命などない。だが、だからこそ、人は懸命に生きるのだ…と、『なるたる』で語った著者氏が新たに綴る物語は、それを踏まえた上でより強い物語を魅せてくれます。残された12人の子供達の『生』を心に刻みながら、この先の展開を刮目したいと思います。