2004/12/29

Landreaall 5巻/おがきちか/一賽社
英雄の息子で王位継承権を(自身の在り様とは関わりなく)持つ立場で、彼自身も(叶わなかった恋の結果として)『竜殺し』の栄誉を『与えられてしまった』主人公のDX。揺らがぬ信念とソレを支える芯を備えた心を持つ彼だが、世界は広く、人は多様で、それらとの交わりの中で彼は自分を曲げる事なく己の未熟さを識(し)る。そしてそんな彼の行動が、彼を取り巻く人達の心をも揺らす。そんな彼らを育むアカデミーでの生活は、心と体を共に成長させていく。
いやも〜、メインの流れやアクションから、サブキャラの心理面も含めたエピソードまで、どこを読んでも面白くて仕方がありませんよ。どうでもいいシーンがどこにもない。なのに重苦しさはなく、物語の足取りはどこまでも軽やかに。
受け取り手の器に合わせ、どこにでも受け口を見せる反面、それこそ「わざわざわかりあえない余地を残して」(密かに)どこか読み手を拒む様な硬質な部分(<…が何なのかが言葉にならないのですが)を感じさせる巧みなネーム構築には心を奪われます。
ソリャソレとして、何よりも五十四さんの震える胸には心を奪われますな!<チチの脇に密かに書き込まれた動きを表す効果線に、著者氏の思い入れを感じられるのがまた!(笑)
あと、イオンちゃんの『初恋てんてこまい』な挙動にも目を惹かれて、その逐一愛らしい少女的な挙動には激しく萌えさせられましたね。あとカイル…君はいいヤツだ。「彼女の涙のために3回死ぬ覚悟」があれば、きっと君は立派な騎士になれようとも。おお。
エビアンワンダー REACT 1巻/おがきちか/一賽社
親に捨てられた少女フレデリカは、「あなたを助けてあげる」と囁く悪魔の声を受け、己の生(それは単に身体だけではなく魂をも含む)を守るために、悪魔に『自分よりも小さい家族』の存在を求めた。彼女はその契約の代償(負債)として、胸に刻まれた銀の鷹の紋章の力をもって(地獄のエネルギーとなる)邪悪な魂を狩る『銀符』となる。
これはその彼女と、彼女が求めた『小さい家族』たる弟を巡る、そして彼らが共にあるべく為に続く戦いや、その心の交流をえがく物語である…って、まとまってねぇなコレ(^^;;)
掲載誌(OURSライト)の休刊に伴い、旅の半ばで一度は幕を下ろした『エビアンワンダー』が、新たな誌面(コミックゼロサム増刊WARD)で蘇った!…というアレのコミックスがついに刊行。掲載誌が季刊なので刊行に時間がかかるのは難ですが、ともあれフレデリカ達の復活は嬉しいですよ〜(T▽T)
物語の根である『フレデリカが感じるハウリィとの不自然な姉弟関係』のエピソードをより深く掘り下げつつ、彼女とは対極にある『天との契約者(七錘)』も登場して、まだまだ広がりそうなエビアンワンダー世界の今後の展開が非常に楽しみであります。
なお、『Landreaall』との同時刊行企画で、『Landreaall』付属の応募券+『エビアンワンダー REACT』帯付属の申し込み票で応募をすると、『描き下ろしブックレット』が貰えるそうです。2/28消印有効。応募者全員サービスなので、ファンの方は要チェックでどうぞ<…などと言うまでもないでしょうが(^^;;) 己も忘れぬ内に応募したいと思います。
おがきちか氏関連ネタ】
今日のコミケで、『OURSガールズ(休刊)』に掲載されていた『先生のラブ時計』の再録本を購入できました。「ほとんど修正せずに再録してあります」という総集編的な1冊です。
コミックス化を見込んで雑誌を買わずにいたのに休刊されてしまい、「他社からでもコミック化するには分量が足りないかなぁ…」と頭を抱えていたのですが、とりあえず1冊の本としてまとめて読めて安堵しました。でも「できれば描き下ろしなども含めて頂いてコミックス化されればなぁ…」と、今でも切望しておりますよ。
作中で南ちゃんが千明に語った
「「世界と私」でしょ? 嬉しいことも辛ーいことも ただのできごとてゆーか 誰とか どうしてとかじゃなくて ただそこにある「世界」 …と「私」でしかないの」
という一言は、本作に限らず著者氏の作品世界に於ける主人公達の在り様を端的に表した言葉であるよなぁと感心&納得。で、「ああ、ソレが自分がおがき作品を心地良く思う理由の一端なのか」と今更ようやく悟る飲み込みの悪さで(^^;;)
もし描き下ろし付きでコミックスが刊行されるならば、是非千明と南ちゃんのエピソードを増やして頂きたいです<彼女らの関係にはほんわりとした萌えを感じるもので(*^^*)
ヘルシング 7巻/平野耕太少年画報社
ミレニアムのゾーリン隊により籠城・対殲滅戦へと追い込まれたヘルシング残存兵力のセラスとベルナドット隊長率いる傭兵部隊。超常の力をもって蹂躙を始めるゾーリン隊に対し、傭兵としての策と信念をかざして立ち向かうベルナドット隊…って、あ〜、もう何書いてもネタバレになる気がしてこれ以上書けないよママン!Σ(T▽T)
とにかく(かなり曖昧に言えば)見所はベルナドットの笑顔、セラスの笑顔(この辺はちょっと涙ぐんじゃったよじいちゃん)、「あと執事…執事ィ!?」…の3点で(笑) 少佐やマクスウェルのイカレっぷりにも燃えます。ミレニアム大攻勢以降の展開は、息つく間もなく熱過ぎますよ!
でもって巻末著者コメントの『スタンドアローン音頭』は、誰か作曲して歌ってくれないモノだろうかなぁと?「ひとりでおるすばん(ハァー妻子持ちー妻子持ちー)」で爆笑。
そしてコミケの大手列を見ると、著者氏の『大同人物語』に於ける織田のコメント(「オタクたちを兵士に例えるなら 彼らは精鋭中の最精鋭!(中略)どんな差別、どんな蔑視も屈しない!! 鋼鉄の意志の古参兵達!!」のくだり)を必ず思い出してしまう己です(^^;;)
大同人もなぁ…出ないかなぁ続き。コミックス未収録分持ってないし…(T皿T)