2005/3/18

皇国の守護者 1巻/原作:佐藤大輔・漫画:伊藤悠集英社
太平の世を謳歌していた島国<皇国>の北領に、超大国である<帝国>の艦隊が宣戦布告もなく来襲。麗しくも強き姫、総司令官ユーリア率いる帝国軍の猛襲により、北領を守護する皇国軍は潰走を余儀なくされる。
神代のいにしえに人と竜との間に結ばれたとされる協定が世界秩序の根幹を成す『<大協定>世界』で、剣牙虎(サーベルタイガー)を従えた実験的新造部隊『剣虎兵隊』の新城中尉が、祖国を蹂躙せんとする敵に立ち向かう。
以前に飲み仲間が原作小説の面白さを口にしていたので気になってはいたものの、結局機会がなく原作未読のままにウルトラジャンプ掲載のマンガ版連載を読み始めてしまったのですが…そしたら面白くてどうしようかと!<基本的に、原作があれば先ずソレを読みたいタイプなのですよ自分は。しかし原作小説は「未だ刊行中。しかも不定期刊行で続巻をジリジリと待たされる」と聞いて尻込んでしまったという…<記憶力が弱いので、長編作品で時間をおいた刊行をされると展開や伏線を忘れてしまうのですよな(^^;;)
限られた戦術を活かす的確な戦略をはじき出せる明晰な頭脳を持ち、(外へと向けられる『大義名分』ではなく、『美学』的な信念たる)美しい理想を心に掲げる。だが、それを為しえぬ弱き自分を識(し)り、そしてそれを恥じてもなお、その己の弱さをまでも利用して、命を守るために出来る最善の策を選ぶ新城…「絶対にコイツの部下(あるいは関係者)にはなりたくね〜!」と思うのに、激しく心惹かれますよ。何なんだこのカッコよさは!(笑)
あと、猫(剣牙虎)が死ぬ程かわいいですよ。ひとたび戦闘ともなれば、俊敏たる暴虐さでもって殺戮を成す猛獣なのに、「ニャー」とか「ナー」とか鳴いて『プリティでイノセント』な姿を…あ〜も〜かわいいなぁ!(T▽T)
不明瞭な<大協定>の内容や、その相手の『龍』なる存在。その辺りの世界設定の謎の開示も含めて今後、新城がこの圧倒的に不利な戦況をどのように切り抜けていくのかがとても楽しみです…やっぱ買って読もうかなぁ、原作小説…。



ハチミツとクローバー 7巻/羽海野チカ集英社
今、自分はどこにいるのか。そしてこれからどこへ行くのだろうか…望む場所を知ったとしても、そこへ辿り着けるのだろうか。でも、それはどこだろう。そして、それを望む『自分』とは、いったい何なのだろうか。
支えなく惑う心を抱え、なくした(そもそもあったのかどうかさえ分からない)『行き場』を捜すように、こぎ出した自転車に乗って走り出した竹本。
『自分だけ』と感じる寂しい『個』が…『ただそこに在るだけ』な存在が、その外にいる『他人』に望まれ受け入れられたと感じた時に、その胸の中の花はようやくほころぶ。だが、花咲く力を他者に委ねるばかりでは、いずれその花はあっけなく枯れてしまうのだ………と〜か〜ね〜?(照れ&遁走)
誰も彼もが悩み迷っている。けれど、それを他の誰かがそっと見守り、待っていてくれる。そして精一杯泣いて走って大回りして疲れ果てて帰ってきたら、その待っていてくれた誰かが、そっと優しく手を握ってくれる…そんなこの物語世界の底にある不文律の優しさは(ソレを「現実はそう優しくないよな」と自虐的なシニカルさで笑っていたとしても)やっぱり心地よいのですよな。どっかで落っことしてきた『見たかった夢』が、この作品にはいっぱい詰まってるんだよ〜う。
…とか、まぁ前述のグダグダな話はさておき、シリアス気味な展開に緩急をつけるギャグが、今巻もオモロかったです。何であれ、常に真剣な森田先輩は素敵だ<だがリアルに考えると迷惑だ(笑)
そしてローマイヤー先輩はもはや神(ないし悟り)の域にあると思い。森田さんにせよ、先輩にせよ、『在るがまま』でいられる人は強いよなぁと思ったり…逆に芯が強いからこそ在るがままでいられるのかなぁとも思ったり。
そいやハチクロも4月からついにアニメ化ですな。期待と不安が半々な気持ちで…。
【関連】ハチミツとクローバー アニメ公式サイト