2005/3/23

もっけ 4巻/熊倉隆敏講談社
日本に土着の怪異として在る、時として実像を持って現れる不可思議な現象…『妖怪』。此岸と彼岸に潜むそのものの姿を視てしまう姉と、依童(よりわら)として怪異を寄せてしまう妹。これは望まぬ力に悩まされつつも、それと向き合いながら日々を過ごす姉妹と、薄闇に潜むもののけとの物語。
『彼岸を見るばかりでは此岸が見えなくなる、そして此岸を見失っては彼岸もまた見失ってしまうのだ』といった、『常に不安定な境界に身を置いてきた者』である静流の言葉は、怪異に対して特異なスタンスを持つ静流だけの問題ではなく、日常に身を置く者(読み手)にとっても含蓄深い言葉だったよなぁと。幼い身には余りある体験をしながらも、そこから悩み学んで成長していく姉妹の強さには、側で手を握られるような小さな力強さを感じて、じんわりと感動してしまいます。
でもって、生身で日常生活を送る人間にとっては割合と(時にかなり深刻に)迷惑な『怪異』の存在が、作品中で(やはり困った存在でありながらも)非常に魅力的にえがかれているのもよいなぁと。『ミツアシガエル』や『イソオンナ』などは、それがよく表されたエピソードだったなと思い。
あと、今巻も爺さんが格好良すぎる…やはり若かりし頃の爺さんの外伝的エピソードも読んでみたいものです。
【関連】即身仏霊場西生寺おてら通信
カバー折り返し部写真の『雷獣のミイラ』を保管されている西生寺のHPと、西生寺ご住職の奥様による日記サイト。日記の方には雷中についての記述(下部03年10/29参照)もありました。
…というか、新潟(寺泊)にあるお寺だったのですな。市内出身者なのに知りませんでしたよ(^^;;) 折角なので、今度帰省したら車を運転できる友人に頼んで、拝観に行ってみたいと思います。



君と僕 1巻/堀田きいちスクウェア・エニックス
ちょいと捩れた大人の視点を持つやさぐれ双子と、それに振り回されたり見守ったりする友人達による、ちょっと心温まって、だが大半は「現実って、しょっぱいネ」的な身も蓋もないエピソードで味付けされた日常の小話。
ガンガンの巻末4コマ掲載時からチェックしていた作家氏だったのですが、ようやくコミックスが刊行されて嬉しいですよ。『ちょっといい話』をそこに収めておかない「いや、ソレはそうだがちょっと待て!」的な微細な腹黒さを上手い具合にブレンドした作風が好きなのです。ちうか要が素敵メガネ君に成長していてびっくりしたり<だが中身はあの『半端な常識を基礎とした不器用で生真面目な性格』なままなので「今イチ燃えないネ〜」と思いつつ、「まぁ、コイツはこうでないと(笑)」といったオモロトホホな予定調和に迎合する気持ちもあったり。
ガンガン巻末掲載時の4コマが収録されていないのが気になったのですが…いずれ収録されるのかなぁ?