2005/4/2

毎日かあさん お入学編/西原理恵子毎日新聞社
著者氏とその幼い子供達(長男&長女)のくらしぶりでもって綴られる、ちょっぴり風変わりで穏やかな日常絵巻。描かれる行為のどこまでが事実か首をひねりながら、「でも男子はやりそうだよなぁ、こういう安全を省みぬウルトラバイオレンスな行動を」と思ってしまう、創意工夫が過ぎてエキセントリックな振る舞いを繰り返す長男。素直でかわいいっぽいが、5歳で早くも嘘泣きを駆使するおませさんな長女。そんなふたりと暮らす母子家庭のおかしな日々には、笑わされると同時に何か感慨深い気持ちを思い起こさせられますよ…いや、自分も少々風変わりな父子家庭で育ったモノで(^^;;)
別れた旦那からプレゼントを買ってもらう子供達の姿を眺めて笑いつつ、「君は欲しいものはないの」と聞いてくる元旦那に、「大丈夫 ぜんぶもってる」と答える、素敵な肝っ玉かあさん。どうかこの親子さん方が幸せに過ごされますように。そしてそのオモロい物語をまた愛でられますように、と願ったりするワケです。



巨乳ドラゴン/三家本礼ぶんか社
帯の『ゾンビ集団VS5人のストリッパー』という文句が、そのまんまあらすじです(笑)
一時は刊行中止の憂き目をみた作品が、発売元を講談社からぶんか社へと変えて無事刊行。しかし刊行中止の理由は『工口』の方かと思っていのですが、著者氏のコメントを読むと『バイオレンス』の方が問題になったようですな…って、アレだけで問題になったのか。正に『難癖付けられた』といったカンジですなぁ。H×Hのように、切断部をちょっと隠せば良かったのでは?(^^;;)
作品を構成する『記号』的な要素だけを読めば『エロスとバイオレンス』な作品なのですが、著者氏の作品では、女性キャラがどんなに乳だの尻だのを丸出していても、あまり工口いとは感じないのですよな。彼女らのあまりにも堂々とした漢(おとこ)らしい勇姿を見ると、むしろその姿が普通に見えてしまうのが、いいのやら悪いのやら…(^^;;)
バイオレンスに関しても、ホラーでスプラッタな系統の筈なのに、大胆なアクションの格好良さの方に目がいって、ビビリな自分でも恐怖感を感じず読めてしまうという…コレもいいやら悪いやら<まぁこの作品はさほどホラー色に重きをおいてはいない気もしますが。
ともあれ著者氏の突き抜けたナンセンスさの格好良さと面白さが(あと身も蓋もなさも)凝縮された作品になったのではなかろうかと。黒伊の飛びっぷり(と同時に意外に気のちっさいコミカルさ)溢れるキャラが際だって良かったですよ。他もどこを見ても『三家本節』全開なので、著者氏のファンは即買いで無問題だと思います。
【関連】ドラマCD「ゾンビ屋れい子」紹介サイト

仕立屋工房 1巻/日丘円スクウェア・エニックス
分野を極めて人々の望みを形にするのが『職人』。その中でも『神の手』と崇めら、超絶の技をもって超常の成果を生み出す『天選(マスターピース)』と呼ばれる者の存在は、今では伝説として世界に語り継がれている。これはもはや『お伽噺』とされている『天選』の存在を信じ、『仕立て屋の天選』となるべく奮闘する主人公の物語。
奮闘…というか、早々に『天選』の道具を使えてしまった事で、逆説的に(道具が使えるのならばそうだろう、と)『天選』となってしまっている主人公の立ち位置が、行使される力が存外大きい割に、彼がその未熟さで何故道具を使えたかの理由が明確でない事によって、どうにも腑に落ちなく座りが悪いよなぁと。
まぁまだ始まったばかりで、主人公の活躍も日常のトラブル解消の域を出ていないので、今後の展開次第なのかなぁとも思い。このまま日常の『ちょっといい話』ノリで行くのか、他の『仕立ての天選』や他の職種の『天選』などが登場してスケールの大きい話に持っていくのかも謎。まだまだ膨らませる余地のある魅力的な設定で、絵や描写が達者な著者さんだと思うので、後者のスケールの大きい展開にもっていって頂けると面白くなりそうなのですが…ともあれ続巻の成り行きを見たいと思います。