2005/4/4

NARUTO 27巻/岸本斉史集英社
ナルトとサスケ、その成り立ちと背景を含めた設定とエピソードを撒き終わった所での『第一部』完。
ナルトが口にする『理想』は、シビアな作中の現実設定に対して(まぁ当人は無自覚であるにせよ)あまりにも『主人公』(基本的に死なない。あるいは死んでも復活が約束されている)という存在ならではの、無神経で無計画な無根拠さに溢れた『大言壮語』に類するものが多いのですが、それでもソレを「こいつなら(読み手から見て)気持ちよくやり遂げてくれるだろう」とも思わせてくれるのがいいなぁと。
これまでナルトが経てきた戦いを思い出せば、彼の口にする『絵空事』を、「だが決してありえない事ではない」と受け入れられるだろうという予感…それこそが、これまで時間と手間をかけて繰り広げられてきた彼の活躍と苦闘のエピソードを、同じく時間をかけて読んできた読者が味わえる、『長編作品を読み続ける事での楽しみ』の最たる部分ではなかろうかと…って、何かうまく言えないなぁ(^^;;)
ともあれ、ここまで敷いてきた伏線が展開されていくのであろう以降の成り行きが、今から非常に楽しみです。
ソリャそうと、今巻でのサクラの挙動を見つつ、「あ〜、そっか。ヒナタは『女の子』だったけど、サクラは『女』だったのだなぁ」と改めて認識したり。
ヒナタのエピソードが割合と上手い具合に展開されていたのに対し、サクラのエピソードに対して違和感を感じたのには、その辺の『彼女らの立ち位置の違い』(そして著者氏が各々の対象の属性に対して、どの程度の理解や認識を踏まえて描写できるかという問題)により、描写の成否が分かたれた結果だったのかなぁとか<いや、適当で曖昧な印象論なので、「何を知った風な口を!」と叱られたら即謝罪しますが(^^;;)
カカシ先生の外伝は正直、週刊誌で読んでいた時には何らオモロ味を感じなかったのですが、まとめて読んでみたら、既存設定のルーツや、ソレを活かした印象的な記号(『遅刻の嘘理由』や『忍びの掟』や『車輪眼』など)をスタンダードな『お約束』で上手く繋いだ流れの面白さも感じたり。しかし『戦場のボーイズライフ』というサブタイは頂けないなと。言葉の持つ響きやノリが、どうも内容と乖離している気が…著者氏が好きなのでしょうかね、オザケン?(^^;;)



DRAGON DRIVE 12巻/佐倉ケンイチ集英社
『ただ信じる事だけで、自己の全てを他者に委ねる』…一歩間違えば『一人では立てぬ弱いだけの自我が、無思想に自己存在とその責任を放棄して、他者己を依存させる』ようにも取られかねないその行為が、だが『無償の信頼によって自己を他者に委ね、そして他者を自己へと受け入れられる強さ』として読み手に伝わる…それを伝えられる描写や物語展開が相変わらずスゲェというか!
信じて心を通わせて、そして『互いの心が通い合った事』を信じられた事が、当事者(タクミとライコーオー)だけではなく、読者にも感じられるが故の、説得力溢れる盛り上がりと引き込まれっぷりが何とも清々しく心地よく。
割と間ダレしそうなこの手の『本筋からは離れた、ランクアップのための試練エピソード』をテンポ良く効率的に、何よりもオモロく展開した構成力…やっぱ佐ケンは熱いなぁ!
氷室の再登場にも燃えたのですが、1話扉にも出ていた林吾のようやくの登場と、「登場したと思ったら、こういう役回りか!」という展開も意外で面白かったですよ。彼にはできればこのバトル以降にも登場して頂き、『魅惑のタクミワールド』の虜になって頂きたいなと切望。いや〜、レイジにしろタクミにしろ、この作品の主人公のカリスマパワーは恐ろしい!(笑)
でも気になるのはやっぱりアリサたん(<『たん』言うなよ)の動向で。まぁ彼女が『魅惑のタクミワールド』の虜になるのも時間の問題そうですが、むしろソコを見たかったり。でもってレイジはぼんにゃりと置いてきぼりのままなのだろうかと…2大スターの競演も期待したい所なので、是非何らかの救済措置を所望。