2005/5/22

ギャラリーフェイク 32巻/細野不二彦小学館
本棚に並んだ巻数を見るたびに、どこまで続くのかと思われたこの作品もついに最終巻。しかしいざ終わってしまうと、「もう新作は見られないのか…」と寂しい気持ちになりました。本当に面白い作品だったよなぁ…1巻から読み返したいのですが、今はその時間がないですよ(T▽T)
想像もつかないスケールの豪華な世界から、ごく日常の側にひっそりと息づくモノまで。人なくしては決して存在し得ない『美』を巡る物語と、それを追い求める人々とを共にをえがいてきたこの作品のトリを飾るのは、美術史上に今もなお燦然と輝く謎であり、シリーズでも度々扱われてきた『モナリザ』を巡る冒険。
今までシリーズ作を愛読してきた読者が嬉しくなるようなキャストを配し、ベストセラーとなった『ダ・ヴィンチ・コード』を連想させつつもソレとは異なるこの作品ならではの切り口で、コミックス丸1冊分のボリュームを費やしてえがかれた『いまだ日の当たらぬ場所にあるモナリザ』の物語は、長期連載作の幕引きにはふさわしいラストエピソードでした。
つ〜かサラ! 良かったねサラ! 何よりも誰よりも『美』を信奉してそれに全てを捧げてきた男が、最後の最後でミューズたる『モナリザ』ではなくサラを選んだ…藤田がいかに『美』を重んじてきたのかを32巻かけて見てきた読者だからこそ、どんな言葉よりもあの選択が、重く確かな愛であるのかがよく分かりますよ!<うわ、くせ〜台詞! だけどそんな感激
でも大丈夫だ藤田! サラ(生ける女神)さえ側にいれば、きっとまだまだチャンスは幾度となく巡ってくるぞ(笑)
…とか、そんな風に彼らはこれからもどこかで、あの『ギャラリーフェイク』を運営しながら、新たな物語を刻んでいるのではないかと思わせられる幕引きで、納得&満足な終焉でした。<でも最後の藤田の顔の口元は、笑っていた方がソレっぽかったのになぁとか思い<いや、何だか神妙な顔つきだったので。まぁ、ソレはソレで画面は締まったなとは思うのですが。
ともあれ長編作品で大事なのは、やっぱり終わり方だよなぁと再認識した1作でした。欲を言えば、三田村館長が勘違いしたままフェードアウトしているのが惜しかったなぁと(^^;;)