2005/5/27

リセット/筒井哲也スクウェア・エニックス
以前、サイトで公開されていたウェブコミックを読んで以降注目していた作家氏だったのですが、ついにプロとして商業誌から単行本を刊行。
巨大団地内で立て続けに起こる謎の連続自殺…事件の影には団地内のネットワークで繰り広げられる、ネットワークゲームディストピア』の存在があった。
事件によって夫を失った妻・仁美は、夫の死の謎を追って接続したゲーム内世界で喜多嶋という男に出逢う。直後に起こった戦闘で二人の邂逅は一瞬にして終わるが、間もなく消えた喜多嶋は、現実の彼女の前にその姿を現す。
…というようなネタの話は正直、手垢の付いたありきたりの種ではあるかと思います。しかし虚構(マンガ)の中で語られる虚構(ゲーム)を『現実に迫り、ソレを越えるツール』として語る二重構造の『創作』は、著者氏の卓抜した描写力によって強烈なリアリティを付与されて、圧倒的な存在感を醸し出しています。
『そこにナイフが『配置されている』理由』…作品を読むうちに、作中のゲーム世界や日常世界だけではなく、この物語を読んでいる受け手側の現実の世界までもが『レベルデザイン』されているかのような錯覚を覚えさせる後半の展開には、かなり引き込まれてしまいました。
そして、「それだからこそ」とでもいうように、横っ面を張り飛ばすような現実離れした派手なアクションを見せる事によって、その危険であるがゆえに魅惑的な錯覚に沈みかかった読み手の意識を一瞬にして『傍観者』へとはじき飛ばす著者氏の技には、カタルシスと共に作り手としての計算や配慮(『思いやり』のような、曖昧だが自発的な誠意の類)を感じたなぁと。
ただ、熱血教師な吉岡の存在と、そのエピソードだけがどうも少々『とってつけたような救済装置』に見えてしまうのは、自分がいささかひねくれているせいなのでしょうかね?(^^;;)
現在は新連載も始まっているようなので、そちらの刊行も心待ちにしております。



初恋ロケット/タアモ小学館
読み切り短編集。久しぶりにジャケ買いした1冊でした。
絵は女の子が好みで大当たりだったのですが、ストーリーの方が少々…対象読者が小学校高学年〜中学生の女子辺りなのかと予想するような、ものすごくベタな話をあまりにも夢見がちに表現したネームで…おっちゃんにはちょっといたたまれない程のこっ恥ずかしさを感じてしまい…ああ〜(T▽T)
ですが巻末描き下ろしの話は普通に可愛かったので、次回作はとりあえずチェックしてみたいと思います。

苺ましまろ 4巻/ばらスィー角川書店
愛らしさ全開の少女達によって繰り広げられる、限りなく日常なのに時に無軌道な空間に溢れるビターな笑いが、相変わらず、そして何度読んでもオモロ萌えでたまりません。今巻では特にラブレター話のオチの1コマが妙にツボに入り、電車の中で笑いをこらえるのが大変でした。野生の王国というか掟というかが(笑)
あとは今更ながら美羽と千佳のボケ&ツッコミのコンビネーションにハマったりも。自分にも経験があるのですが、思いつきだけで人生を営んでいるような天然ボケ(しかも無駄にアグレッシブ)にツっ込むのには、センスと頭脳と経験値と体力と精神力が必要なのだよなぁとか…本当にスゴいですよ伊藤姉妹は(^^;;)
【関連】
公式サイトアニメ公式
ゲームは8/11発売で、アニメは7/14から放映。
ゲームはどうしようかなぁ…限りなく微妙な香りがするモノの、予約特典のアートグラフィと美羽の着せ替えドールはものすごく欲しく…な、悩ましい!