2005/6/12

がじぇっと 3 (3)がじぇっと 3巻/衛藤ヒロユキマッグガーデン
成長する謎の機械『ビビリアン』を巡る少年少女の冒険物語、完結。
『最後のがじぇっと』が『兵器』としての形を現しながらも使われずに消え去った事だとか、周一とタラちゃんが妙に訳知り顔な成長をしたりせずに『少年少女』のままで物語が閉じられた事だとか…最後の最後まで優しい作品だったなと。
『日常の延長にある不思議な世界(でもそれも日常)』を生きる中学生少年少女達の、『何が謎って、この心とあの子の気持ち』とかいう甘酸っぱい『おつきあい』が何とも可愛らしく、読んでいるこちら側もほんわりとした気分になれました。
彼らの『ボーイ・ミーツ・ガール…でもその後はどうしたらいいの?』な、不器用で真っ直ぐだからすれ違っちゃったりする姿には、たまらない萌えを感じましたよ…ビバ・ラブコメ
そんな魅力的な登場人物達を更に輝かせる『ビビリアンがいる世界』という設定造形の妙も、存分に堪能できました。
がじぇっと(ビビリアン)とは何なのか』、『ビビリアンが中学生の、しかも女の子の間で流行する理由』、『タレちゃんがキカイ(がじぇっと)に好かれる理由』、『ビビリアンの監視者『ガルガリン』の正体』…などなど、それそのものだけでも魅惑的な『謎』が、しかしそれだけで一人歩きするのではなくきちんとキャラクターに密接したものであったからこそ、『人の心の問題の解決=謎や現実問題の解消』という図式に説得力が出たのではなかろうかと。
正直、最終巻の展開は少々性急であり、エピソードにも随所で読み足りない感じを受けたりしたのですが、あの『あたしたちはこれからも、良いか悪いか分からないスイッチを、押し続けるのよ』という台詞で、何もかもを妙にスッキリと受け入れさせられてしまいました。
その台詞の他にも、最終話に於ける『がじぇっとの母』(かつては少女だったが、今はもう大人になった者)の言動には色々と考えさせられたワケですが…ソレを論じると、ダメな大人になってしまった(しかもそれを良しとしている)自分がしょっぱい気持ちになりそうなので割愛。
本当に魅力的なキャラと設定だったので、これで終わりかと思うと寂しいのですが、著者氏の次回作を楽しみにしております。