ビームコミックス エマ 8巻(通常版)/森薫/エンターブレイン

ビームコミックス エマ 8巻(通常版)本編に登場した脇役たちによる番外編…ということだったので、てっきり本編とは別立てになると思っていたのですが、8巻として刊行。
若かりしケリー奥様が旦那さまと見た万国博覧会。悲しい恋に傷ついたエレノアの新たな出会い。日常を象徴するアイテム・新聞にまつわる人々の営み。まだちょっと頼りないターシャの里帰り…などの短編4本を収録。
いやもーケリー奥様の理知的で清楚なはにかんだ笑顔がたまらんですな!
明るさを取り戻し始めたエレノアも、相変わらず元気なターシャの姿にも和みましたよ。
でも今巻で一番好きだったのは、群像劇の『The Times』。特に印象的だったのは、老貴族とヴァイオレット嬢のやりとりでした。著者氏の描かれる裸体はなまめかしいなぁ…いや、そればかりが印象的だったのではないのですが(笑)
僅か6Pの挿話から醸し出されるのは、酸いも甘いもかみ分け、呑み込んだ者が語る人生の妙味。
過去から未来へと渡るそれぞれの人生は、10人いれば10の『物語』。
輝ける一瞬は、時に人の胸の中では永遠の時間ともなるのだ。なんちて。
以降の番外編の刊行も楽しみにしております。