夏目友人帳 4巻/緑川ゆき/白泉社

夏目友人帳 4 (花とゆめCOMICS)祖母の遺した妖怪を縛する『友人帳』を持ち、妖怪を見ることができる夏目。特異な遺品と能力を持つが故に妖怪に狙われる夏目は、傍らに添う『用心棒』のにゃんこ先生と共に、人ならざる存在と縁を結ぶ日々を送っている。
人と妖怪の狭間で翻弄されつつ、だがもたらされるのは決して恐れや哀しみだけではないあまたの邂逅。それは夏目の心と在り様を大きく揺り動かしてゆく。
幼き夏目と出逢った妖怪が、彼の小さく寂しい心を哀しく、そして愛おしく思った気持ちはきっと、読者が夏目に抱くそれと同じなのだろうなと思います。
けれど今巻ふと、自分が彼に対して感じていた『不安定な寄る辺なさ』が、まだなくなりはしないものの、かなり影を潜めてきていることに気付きました。
これまでは、繊細で優しい夏目の危うげな『精一杯』をハラハラしながら見つめていたのですが、気持ちを分かち合ったり心を預けることができる存在を得て、それに繋がる絆を深めてゆくことで、夏目の心が磨き鍛えられてきたのだろうかなぁと…。
今はまだ大切な人たちに大事なことを伝えられずにいる夏目ですが、今の彼ならばきっと遠からずそれを成す日を迎えられるれるだろうと、安心して信じることができます。