PLUTO 5巻/浦沢直樹/小学館

PLUTO 5 (ビッグコミックス)護衛任務の対象であるアドルフが自分を憎む理由…封印された『殺意』の記憶を取り戻したゲジヒトは、自らの内に潜む『憎悪』と対峙する。
一方、絶海の孤島ではエプシロンが見守る中で、『闘神ヘラクレス』がプルートウとの闘いに挑んでいた。
そして日本では、完璧な修復作業にも関わらず意識を取り戻さず『死んだ』とされたアトムの前に、生みの親である天馬博士が現れる。
かつて天馬博士が「作ったことがある」という『完全なロボット』…それが目覚めなかった理由とそれを目覚めさせる方法。
愛であれ憎悪であれ、『偏った感情』で振るわれる力は、多かれ少なかれ悲劇的な出来事へと繋がる。だがそこに生まれる葛藤こそが『人間らしさ』であり、その不完全な存在に『より近づくこと』が『完璧なロボット』たるという矛盾。
だが人間もロボットも、それが持つ力はただ悲しみを生むだけのものではないはず。今はただ連鎖するだけの悲劇の中から、いずれ明日へと繋がる希望のような何かが芽吹くことを信じて、この魅惑的で息詰まる物語に心奪われていたいと思います。