町でうわさの天狗の子 1巻/岩本ナオ/小学館

町でうわさの天狗の子 1 (フラワーコミックスアルファ)田舎の小さな町で母と暮らす、秋姫のお父さんは緑峰山の天狗さま。だから秋姫はちょっと力持ち。けれど心密かに同級生のタケル君が大好きな普通の優しい女の子。
お山で天狗になる修行をしている幼なじみの瞬からは「修行をして天狗になれ」と耳うるさく言われているけど、そんなつもりはさらさら無い。
けれど山の見えない場所にある高校に進学して、秋姫の日常は少しずつ変わってゆく。新しい学校と友達。目に見えるようになったあやかしたち。それからどんどん強くなっていくタケル君への想い。
少し不思議でほんわり暖かい、ヘンテコ青春ファンタジーの開幕です。
パっと見は伝奇系設定っぽいですが。それを前面に押し出すトンガリ具合はなく、友情や恋に一喜一憂する秋姫の日常と心情を優しくえがく、可愛らしい青春物語ですよ。
ちうかもう秋姫の純真さが、見ているともう頭をよしよししたくなる愛らしさで、放っておけないと言うか目が離せないと言うか。
それにしても顔良し性格良しのタケルは破格の物件(笑)だが、非の打ち所がなくて逆に怖くもあり? いずれは瞬も秋姫に心を動かして、三角関係になったりするのだろうかなぁとか。まぁそうなるにせよならぬにせよ、あまりドラスティックな恋愛話にはならなさそうな所に安心できる作品だよなと。
今巻は『人間の娘』としての面を前に出すエピソードが多かったように思いますが、次巻では『天狗の娘』としての面も前に出そうな引きで、話の続く先が今から楽しみです。