LOVELESS 8巻/高河ゆん/一迅社

LOVELESS (8) (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)清明の戦闘機である二世の襲撃を受けた立夏と草灯は、彼との言語闘争を制し、全ての始まりである清明と対峙する。
かつて『支配』を『愛』と謳い草灯を手中に収めた清明。信じる人間を怖がらせ、傷付け、騙して裏切る…彼はそんな傲慢で残酷なる自分をありのまま受け入れ、その自分に全てを捧げることが真の愛なのだと立夏を追いつめる。混乱する思考で繊細な胸中を渦巻かせ、真実の清明と対峙した立夏が出した答えとは…!
やー、清明のご託も一つの愛の形ではあるのでしょうが、ソレだけが愛だと押しつけられてもなぁ…愛は唯一のモノでなく、そこかしこに形を変え、万人あれば万の形で顕現するものではないかと思うのですが<クサい
しかし『力ある言葉が他者や事象を支配しうる世界』をえがき、そこで『情念と執着を余す所無く「言葉」という武器に乗せられる黒いカリスマ』を強く魅力的に表現し切った著者氏の手腕はアッパレの一言で。
『純粋なもの』が『善いもの』とは限らないが、より純粋なものだけが到達できる場所が確かにある…『遠くに行けるのは天才だけだ』と言った劇作家の言葉を思い出し、その境地には決して至れぬ凡百たる自分からは、そこへと歩んでゆく彼らの姿には、否応なく目と心を奪われてしまうのです。
限定版付録の巻末対談ですが、立夏のハッピーエンドももちろんですが、ユイコちゃんのハッピーエンドもぜひ重く考えて頂きたいですよ!
あと番外編だけでなく、彼女の本編への参戦を心待ちにしております。重要キャラだと思うのに、未だ蚊帳の外扱いのままだしなぁ…(^^;;)