ヴァムピール 1巻/樹なつみ/講談社

ヴァムピール(1) (アフタヌーンKC)飛び降り自殺の巻き添えに合い、1分間の心停止を経て蘇生した伶。九死に一生を得るも、目覚めると髪の色は金に瞳の色は赤に…そして『見えるはずのないもの』が見えるようになっていた。
戸惑いながらも日常に戻ろうとする伶だったが、突如彼の前に現れた美少女・笙は、どこか淋しげな目で告げる   「死の穢れを受け入れてしまえば、もう元には戻れないわ」と。
『半分だけ死者の世界の住人になってしまった』伶が生と死の狭間で出逢い、見つめ、触れるものは、一体何なのか…。
いくつもの壮大な物語を紡いできた著者氏の新作は、生者と死者、そして生物の持つ生命の力を喰らう『ヴァムピール』が織りなす、命と心をめぐる物語。
話立て自体はありがちなものながらも、それを成す登場人物達の魅力的な描写は流石の一言。特にミステリアスな美しさを持つ笙の吸引力は、『花咲ける青少年』の花鹿に匹敵するよなぁと。
著者氏の話にしては展開が早いのも素敵な点で…まぁ、この先どうなるかは分かりませんが(^^;;)
ともあれ続巻が楽しみな作品であることに変わりありません。1日でも早く、また笙と再会できる日を楽しみに続巻を待ちこがれております。