猫神やおよろず 1巻/FLIPFLOPs/秋田書店

猫神やおよろず 1 (チャンピオンREDコミックス)「神は死んだ」…なんて昔の哲学者が言ってたけど、そんなのウソウソ! 二十一世紀のこの世でも、ちよろずやおよろずの神様がたはお元気でいらっしゃいます。
そんな世界の片隅、日本のような国のどこかの街にある、看板娘兼店主の柚子が営む古美術店・八百万堂。そこにはキュートでニートなヒッキーの猫神・繭さまがお住まいです。
ダラリまったりと日々を過ごすふたりですが、繭さまのご友神や意外な珍客が訪れる八百万堂はいつも賑やか。さて、今日はどんなお方が店を訪ねられるのやら…?
日がな一日ゲームに昼寝、覇気なる言葉とはおよそ縁遠い(だって『猫』神だし)繭さまとご友神、そして人間の柚子が綴るたわいもない日常と、その延長のちょっとした(?)事件の数々。和ませて笑わせて、少しじんわりさせてくれるおかしくも優しい物語の開幕です。
巻末収録の『大凶ちゃんとしあわせな世界』もそうですが、人と人ならざるものが共にする『生活』が、事件もありつつもほのぼのとしている点に安堵を覚えますよ。
単純な寿命から、各々の『種』としての在りようまで、喜怒哀楽を共にしようとも決定的に異なる両者。いずれ来る別れは避けられずとも、だからこそまばゆいこの今を愛おしく感じられたりするのです。