夏目友人帳 6巻/緑川ゆき/白泉社

夏目友人帳 第6巻 (花とゆめCOMICS)散歩途中に悲鳴を聞きつけ、廃屋に足を踏み入れた夏目が見付けたのは、筺の中に閉じこめられていた少年。
逃げるように消えた少年・カイと再会した夏目は、彼が妖怪につけ狙われていることを知り、カイを守ろうと決める。
にゃんこ先生と協力して、カイを狙う妖怪を撃退した夏目だったが、その心にはカイと出逢った時の『あること』引っかかっていた。そんな夏目の前に、『妖怪祓い人』である名取が現れた。
妖怪がカイを狙う理由…少年に隠された『秘密』とは何なのか?
人と妖怪の狭間で翻弄されながらも、自分の気持ちや彼らとの関わりについて考えようとする夏目…傷付けること、そして傷つくことを恐れて他者と深く関わることを避けてきた夏目が、様々な経験を経て、『他者に心を預けられる強さ』を手にしつつあることに胸が熱くなります。
その歩みはまだ頼りなく、伸ばす手もぎこちなさでこわばって、なかなか上手く相手とは繋げないけれど…時にはひるみつつ、それでも歩き続けて手を伸ばす夏目の背を見守っていきたいと思うのです。
そんな夏目の成長が小さくも重い実を付けた、子狐との挿話で心が暖まりました。良かったねぇ子狐…読んでいる自分もその温かさに涙が出ましたよ。
巻末収録の読み切り短編『まなびやの隅』も良かったですなぁ。
現在は夏目が絶好調の著者氏ですが、こういった透明な恋の物語も、ぜひまた描いて頂きたいものです。
放映の始まったアニメ版も、事前の危惧を払拭する第1話の出来に満足&安堵しました。この先も妙なけれん味を出さずに、原作の雰囲気を大切にした作品を創ってくれればなぁと願います。