数学ガール(上)

数学が好きな「僕」は、今日も放課後の図書館で数式を展開する。
そこに現れるのは、何よりも数学を愛するミルカさん。折に触れては数学的な問いを投げかけてくる彼女の気持ちが、「僕」には見えない。
そしてまたある時は、「僕」に数学を習うために後輩のテトラちゃんがやって来る。数学とは何ぞと問う彼女の気持ちを、「僕」は知らない。
数学の論理展開を通してあざない紡がれる、ミルカさんと「僕」とテトラちゃんの、理と情の狭間で形取られる、証明に至らぬ青春数学寓話。
まー、自分も数学はサッパリなワケですが、取り上げられている数式そのものに理解や興味がなくとも、それを引き合いに出した意図は書かれていて、それに即した人間関係が語られているので、普通の「お話」として楽しめます。もちろん、数式を理解出来た方が万倍楽しいのでしょうが。
直裁的な感想としては「学習誌に掲載されていそうなマンガ?」でした。
正直、人間ドラマに関しては、自分の『情動』はあまり動かなかったなぁと。何というか…相互理解が成されないのに、それに対する「もどかしさ」をあまり感じられないのが物足りないというか…かといって、ソレが様式美にまでは昇華されていない残念さ。
それにつけても絵力の凄さよ…上手くはないのですが(失礼)、無表情の愛らしさが魅力的で。この絵でなかったら、ミルカさんには惹かれませんでしたな。
つーか、それでも椅子蹴り(そしてその後の態度)でどん引きしたという…クール才女系かと思いきや、趣味馬鹿○痴系だったという話?
エキセントリックと○痴は紙一重ちうか、奇矯な行いが魅力になるか否かは、結局容姿次第なのですかね?<いや、『物語』上では演出次第だと思うのですが、この作品(マンガ版)では、正直その点はイマイチだったなと。残念。
上巻ということで下巻があるワケですが、ぶっちゃけここで終わっても何ら問題なさげにも感じたり。つか、孤独な数学メガネ男子「僕」の、「なーんてね、ふふふ」とかいう、単なる夢路さん(@ペケ(古))的妄想オチ、あるいは夢オチだったら寒いよなぁ…<さすがにソレはなかろう(^^;;)