箕輪勢一の消失@嘘喰い


■ その不在により、逆説的に彼の存在と功罪について考える。
可能性とか多様性とかいう名の元に好き放題やった平行世界なネタ。



■ 過去、ここでUPした嘘喰い関連ネタなどの格納場所を作りました。

作業の際に、週ごとに「描き捨て御免!」的にやっていた産物を改めてまとめて見返したら、本当にアタマの悪いネタばかりで遠い目に…つーかアレ、自分以外の誰が面白いんだ?<ソレを自問し始めると、ここのあらゆる更新作業が停止するのでヤメ!

■ 時間的にはもう金曜朝なので、以下14、15巻の感想。
嘘喰い 15 (ヤングジャンプコミックス)嘘喰い 14 (ヤングジャンプコミックス)■ …しかし詳細感想は毎週やっているので、該当記事へのリンクと、零れた雑感をメモ的に記載。
そして2冊同時刊行の醍醐味な表紙がカッコよかったので書影を並べてみようと思ったものの、amazon先生のフォローが追いついてなかったという…まぁいずれ反映される日に備えてそのままにしておきます。
■ この一対の表紙を見て、ふと『過去は未来に復讐する』という一文が脳内に浮かんだのですが、「何だコレ?」と思って検索してみたら『ケイゾク』のサブタイでした。懐かしい…てか、もう10年も経つのか!?(^^;;)

■ 『嘘喰い/14巻』
嘘喰い 14 (ヤングジャンプコミックス)

嘘喰い 14 (ヤングジャンプコミックス)

【雑誌掲載時の感想記事】
143話144話145話146話147話148話149話150話151話152話153話
■ Lファイルを賭けた『ラビリンス』の決着と、端緒となった『0円ギャンブル』の顛末をえがくエピローグ。そして斑目さんが主役のソレを『表面』とすると『裏面』にあたる、梶ちゃんが主役の『雄牛の子宮』編が開幕。
■ 少し穿った見方をすると『ラビリンス』は、表主人公な『勇者』門倉と、裏主人公な『怪物』箕輪により、その振る舞いと末路をもって雄弁に語られた、歪で皮肉な『英雄譚』(というか寓話)でもあったような印象。
ちなみにこの視点だと、『神』のポジションにあたるのが斑目さんになりますが、その斑目さんをも含む世界観だと、また異なる相がえがかれるよなと<つーか、ソレこそが本来の物語世界だよな。
実際のところ、『世界』はそこに生きる人間の意思や思惑、愛憎悲喜こもごも、それらが是であれ卑であれ正であれ邪であれ、そのものやをそれを内包する人の生き様などにはおかまいなしに、『ただ、そのようにあれかし』という無関心さで回っている…ように見えるのですが、それをどのような『視点』で切り取るかによって、その価値は個々で異なるよなぁとか、そんな?
…などと、視野の狭窄と俯瞰を瞬時に切り替える思考遊びをしていると、全体(本質)を見失うよなぁという、内省的ひとりごと。
■ リアルな死の傍らに自身を置かざるを得ない『勝負』。持てる全てを尽くしても、なお及ばぬことがあると知る『運』の領域への、時に捨て身とも見える挑戦。だがその窮地の中にありながら、実利ではなく美学(時に哲学であり倫理でもある)を重んじるが故に自ら試練のハードルを上げる行為。そしてそういった『ギャンブル』に挑む時に、生への価値(執着)を最大限に感じる。
…という斑目さんの在り様は、確かに門倉が評したように一見『ギャンブル狂』にも見えるのでしょうが、それがもたらす恍惚と陶酔に身を任せきらない所が、斑目さんを真に『怪物』たらしめている部分であり、そこを浅く見誤ったのが門倉の失策だったのかなぁとか?
■ しかし『目的達成を至上に据えて知恵を振り絞り、情動を制御し、為し得る努力を尽くして事に臨む』というのは、程度の差こそあれ『人間』の誰しもが(凡人である自分ですら)取り得る基本的な姿勢なのですよな。
…ただ、斑目さんの場合はその徹底具合と達成レベルがハンパないので、『怪物』と形容するしかないのかもなぁと思ったり。
■ ↑…う、何かを語る前振りのための話だったのですが、書いているうちに肝心の本筋を見失いました(死)
オチとしては、かつてマルコが言った『人は自分を映す鏡』の延長にある、『自分が観測できる他人の姿は、自身の主観やその理想や失望を投影する鏡となっている場合が多く、『そのもの』を認識することは困難である』とかいう話だったような?
■ そんな斑目さんよりは読み手に近い(…近いかアレ?<まぁ情動的な比較としては?)梶ちゃんの『勝負』。仕掛けに踏み切る際の彼の『仮説』は何度見ても穴だらけなのですが、「時間をかけても正直、僕が出来る事はあまり変わらないように思えるし」という自己判断は的確ですし、その前提で『不確定要素に賭けるのがギャンブル』だと思えば、アレも妥当で自然な流れだったかもなと。
その能力の高さにより、もはや『ギャンブルというよりはドミノ的装置の必然的帰結』とも思える斑目さんのソレよりも、(良くも悪くも)より『ギャンブル色』の強い梶ちゃんの勝負には、否応なく目と興味を惹かれてしまいますなぁ。
■ 梶ちゃんの『騙し』は改めてまとめ読みすると(いくつもの『運要素』と『息子の愚鈍さ』に助けられてはいるモノの)、『フルオープン・ポーカー』のワンアイデアイカサマネタの秀逸さに加え、『いかにも』な捏造設定と巧みな話術の組み合わせが効果的で、コンゲームの話としてはかなりよく出来ているなと感心したりしました。
■ …つーか作品を読んでいると斑目さんの奇才っぷりを基準にしがちで、つい平均基準が高く想定されがちですが、自分の23歳時を思うと(自分が頭悪いにしても)、梶ちゃんも十分『非凡』だよなと思ったり。

■ 『嘘喰い/15巻』
嘘喰い 15 (ヤングジャンプコミックス)

嘘喰い 15 (ヤングジャンプコミックス)

【雑誌掲載時の感想記事】
154話155話156話157話158話159話160話161話162話163話164話
■ 蛇と骨の利権争いに巻き込まれ、梶ちゃんが挑む生死を賭けたデスマッチ。
■ この巻収録分については、気になる事はあらかたリアルタイムでの感想に書いてしまったので、特に付け加えることがなく。
リアルタイム(週刊)で各エピソードを読んでいた時は、先の気になるもどかしさが逆にいいテンポでしたが、コミックスでまとめて読むと存外早い展開で、しかしコレはコレで軽快さが小気味良いなと思い。
■ あ、「気がふれるまで犯し続ける」とか分かり易いエロス恫喝を口にするくせに、『生理』の一言をぼかす滑骨の羞恥の基準が謎(笑)
■ しかし巻末の次巻予告はNGだよなアレ。伽羅が登場するのは(まぁ読み手にも予測は付いているとはいえ)、明言しちゃったら興醒めだと思うのですよな。
いや、他のキャラクターならともかく、伽羅とか夜行さんとかは『ジョーカー(てかワイルドカード)』の扱いだから、その登場(保険)が垣間見えると、展開の緊張感が薄れるよなぁと思うのですが?<まぁ著者氏によるその辺りの扱いの上手さが秀逸なので、先読みや予断を許さなくはあるのですが

■ 巻末収録『異形賭博者 嘘喰い』は、姐さんの鞭打ち乳揺れにエロスではなく笑いを覚えてしまう罠。インテリヤンキーというかチンピラ臭い斑目さんというのもいいなと思いました<まーコレが雛形なだけあって、連載初期もそういう感じでしたよね。
■ 分割収録が終わったので、次巻は夜行さんの外伝が帰ってくるかなぁ?