10/9/23〜25

■ 『東京レイヴンズ 1、2巻/あざの耕平

東京レイヴンズ1  SHAMAN*CLAN (富士見ファンタジア文庫)

東京レイヴンズ1 SHAMAN*CLAN (富士見ファンタジア文庫)

「おれはもう、やるべきことをやるべきなんだ」

待望の新シリーズがスタート!
…したのですが、話はまだ状況や世界設定の説明の域を出ず、『物語』としての面白味が明確には見えてきていない気がしたり。
とはいえ掴みは上々かと思いますし、『Dクラ』や『BBB』がそうだったという経験的に、スロースターターな著者氏の作品が本格的に面白くなってくるのは3巻以降だと思うので、この先の展開に信頼の期待を抱いております。
キャラクターに関しては、熱血誠実でニブチン(笑)な春虎はいい感じなのですが、ヒロイン・夏目の『愛と潔癖さゆえの嫉妬深さ』には、正直今の所は可愛さよりもウザさが鼻につくなぁという印象で(ある意味でソレと似た印象だった京子は、2巻オチ時にはいい感じに思えたのですが…)
しかし『Dクラ』初期時にはウザいと感じた千絵が、屈指の名キャラへと進化を遂げた例を見ているので、逆に今後の夏目の変化が楽しみでもあります。
つーか、コンのキャラ設定と造形自体が『飛び道具』過ぎてどうしようかと…あんなんもう可愛くて可愛くて可愛くてたまらないに決まってるじゃないですか!<重要なことなので三度言いました(笑)
長編(本筋)の展開も心待ちですが、ラブコメでドタバタな短編集の刊行が待ち遠しいですなぁ。
あと些細なことですが、背表紙のタイトル地の色が1巻と2巻で微妙に違うことが気になり…色指定を間違えたのか?

■ 『マリアビートル/伊坂幸太郎
マリアビートル

マリアビートル

「いくら中身が危険だってね、運ぶだけなら安全だよ」
「どういう理屈なんだ。じゃあ君が、代わりにやれよ」
「嫌だって。そんな危なっかしい仕事」

高速で疾走する新幹線の車内…限定された場所と時間の中でたった一つの黒いトランクをめぐり、『死』に手を染めた者達が繰り広げる復讐と闘争のコーカスレース。
グラスホッパー』と世界観を同じくし(前作に続き、鈴木と槿が登場)、その数年後をえがく新作。
新たな登場人物たちの強烈な個性とその印象深いエピソードの描写、そして一刻毎に転変(悪化)する状況に引き込まれて、先へ先へと一気に読了。
伏線もきっちり回収し、全てが収まるべき場所に収まった『因果応報』の(だが『信賞必罰』ではない)結末も、鮮やかの一言。
それにしても、あれだけあくの強い人物たちそれぞれに、(理解は出来なくとも)その言動のどこかしらに共感できる部分が備えられていたのは凄いなぁと思いました。
というか読みながら今作&『グラスホッパー』と、『魔王 JUVENILE REMIX』の設定が脳内で混じってしまい、「あるぇ〜?」と混乱する罠。とりあえず『グラスホッパー』を読み直すか…。
あ、そいや今作の七尾と、『Waltz』の『首折り男』って何か関連があるのかなと?(でも『首折り男』の名前は大藪だしなぁ)